第二百三十二話
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第二百三十二話 音符の動き
音符の動きに気付いた小田切君はここで。博士に対しても言った。
「何ですかね」
「わからんが危険なのは間違いないのう」
それは本能的に察した博士であった。そうしてであった。
「エンペライザーはこうした時にはじゃ」
「どうなるんですか?」
「自然に危険を察知して動くのじゃよ」
そうするというのである。
「その超AIでのう」
「つくづく迷惑なまでに優秀なマシンだよな」
「本当にね」
博士の今の言葉を聞いて顔を見合わせて言い合うライゾウとタロであった。
「おかげで一機だけで大騒ぎだよ」
「本当に特撮の悪質なロボット兵器だよね」
まさにそれであった。博士の造るものはどれも迷惑千万なものばかりであるがこのエンペライザーはその中でも特に酷いものである。
「そんなのを造ってさ」
「困った人だね」
「それでだけれど」
こんなことを言う彼等にまた小田切君が言ってきた。
「エンペライザーが跳んだよ」
「あっ、本当だ」
「跳んだね」
その巨体からは想像もできない高さを跳んだ。さながら蚤の様に跳ぶ。それだけでも驚くべきものがあった。しかし驚くべきものは他にもあった。
「えっ、音符が」
「全然離れないよ」
そうなのだった。マシンの周りのその音符達は全く離れないのだ。跳んでも着地してもである。全く離れずまとわり付いているのである。
「何だ、あの音符」
「全く離れないなんて」
「しかも」
小田切君もあることに気付いたのだった。
「何かエンペライザーの装甲が」
「あっ、本当だ」
「確かに」
彼等も気付いた。何とエンペライザーのその無敵の装甲が破損してきたのだ。まるで爆雷に当たったかの様にである。壊れてきたのである。
「音符ですね」
小田切君はその原因をすぐに察した。
「あれが壊してるんですね」
「そうじゃな」
博士もそれを見てすぐにわかったのだった。
「そういうものじゃったか」
「何か凄くない?」
「そうだよね」
ライゾウとタロは音符がマシンを破壊することに驚いていた。
「何かこれって」
「やばいみたいな」
「何、これからじゃよ」
だが博士の余裕は変わらない。
「全てはのう」
こう言って戦いを見守るのだった。確かにまだ戦いははじまったばかりであった。
第二百三十二話 完
2009・10・26
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