第二百二十一話
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第二百二十一話 ツインボーカル
「行くわよ美奈子!」
「ええ華奈子!」
二人は背中合わせになっていた。華奈子は左に、美奈子は右に。それぞれ位置してそのうえで掛け声をかけ合ったのだった。
「今日のライブがいよいよスタートするけれど」
「いつも通り頼むわよ」
背中合わせになったうえでお互いを目で見合う。しかし顔は動かさない。その目だけで見合う二人だった。
「あんたもね」
「わかったわ」
二人は言い合ってから離れた。そうしてだった。
「スタート!」
「行くわ!」
歌いはじめた。ソロで歌い部分もあれば重唱の部分もある。歌っているとだった。何と無数の音符が結界を超えて宙に舞いだしたのだった。
「えっ、音符が出て来たぞ」
「そうだね」
それを見て互いに言い合うライゾウとタロだった。彼等もモニターから戦いを見ているのである。当然博士と小田切君もである。
「あの音符って何だ?」
「絶対に魔法だと思うけれど」
「そうじゃ、魔法じゃ」
ここで博士が彼等に対して告げた。
「あれは間違いなくそれじゃ」
「魔法の音符」
「一体どんな効果があるんだろう」
「ふむ。どうやら」
博士はその音符を見続けている。風の中に漂う様にしてそのうえでエンペライザーの周りを囲んでしまったのであった。何時の間にか。
「攻撃の為の音符じゃな」
「攻撃って?」
「あれが?」
「そうじゃ、攻撃じゃ」
それだというのである。
「あれはのう」
「攻撃っていっても」
「風に漂ってるだけじゃないの?」
彼等にはそう見えるだけであった。しかしここで彼等や博士と共にモニターから戦闘を見ている小田切君があることに気付いたのであった。
「んっ、あれは」
「あれは!?」
「何かあったの、小田切君」
「うん、あったよ」
まずはライゾウとタロにこう答える小田切君だった。
「ほら、音符の動きだけれど」
「うん」
「それは」
「エンペライザーを完全に囲んでいるよ」
そのことを指摘するのだった。見ればその通りだった。音符達は何時の間にかエンペライザーの周りを完全に囲んでしまっていたのである。
ただ周りに漂っているだけではない。無数の音符達がマシンの至る部分を囲んでしまっていたのだ。小田切君はこのことに気付いたのである。
第二百二十一話 完
2009・10・26
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