第二百二十話
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第二百二十話 博士の方では
六人が向かう博士の研究所。しかし博士は至って普通に日常の生活を送っていた。
「あげれぽっ!!」
今日も人体実験の材料にされた街のチンピラの断末魔の叫び声が研究所の中に響き渡る。博士の劇薬投与の副作用で身体が爆発してそれで死んでしまったのだ。
「ふむ。死んだか」
「完全に肉片になってるじゃないですか」
小田切君はチンピラが死んでも一向に意に介していない博士に対して告げた。流石に彼は人の死にどうかと思う部分があるのである。
「っていうか何の実験ですか?今日は」
「うむ。体力増強剤の開発をしておってのう。それで実際に投与してみてそのうえで見ておるのじゃが」
「それで五人も死んでますけれど」
「何、大したことはない」
五人なぞというのである。
「いつものことじゃ。違うかのう」
「まあそうですけれどね」
こう言われてはその通りだと答えるしかない小田切君だった。実際に博士にとっては人命なぞまさにその辺りの枯れ木と同じ様なものであるからだ。
「けれど体力増強剤ですか」
「あれば何かと役に立つじゃろう」
「そうですけれど何で飲んで爆発するんですか?」
小田切君はそもそもそれが不思議であった。
「何入れてるんですか、中に」
「ニトログリセンをたっぷりと入れておる」
それだというのである。
「あえて爆発するようにのう。ちょっと動かせば」
「それじゃあ人が飲めないじゃないですか」
話を聞いてすぐに突っ込みを入れた小田切君だった。
「せめてニトログリセリンを爆発するようになんて」
「駄目か」
「駄目ですよ」
はっきりと答える小田切君であった。
「そんなことしたら体力増強剤じゃないですよ。何でそんなの入れてるんですか?」
「まあちと遊びでのう」
「遊びでそんなの入れるんですか?体力増強剤に」
「ひょっとしたらと思ったりもしてじゃ。まあ五人死なせたからよしとしよう」
死んだことはかえっていいのであった。つくづく人権思想とは縁のない博士である。
「まあそれでじゃ」
「ええ。薬の調合は変えるんですよね」
「既にそれは容易しておる。今六人目に投与したところじゃ」
「それで今度は何を入れたんですか?」
どうせ碌なものではないということは予想していたがそれでも一応尋ねる小田切君だった。そうして返って来た返答はというと。
「テトロドキシンじゃが」
「河豚の毒ですよね、それ」
それはすぐにわかった小田切君だった。言わずと知れた凄まじい猛毒である。河豚一匹の分だけで二十人は殺せる代物である。
「確か」
「クサフグ一匹分を入れたが」
その河豚の中でも最も毒が強い種類である。間違えて食べればまず死んでしまう。
「さて、どうなるかの
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