第百三十六話 黒狐を煙に巻く
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は移動する輸送船の数が多いのではないか?」
「はい。その点でありますが、惑星開発庁がクラインゲルト星系、ボルソルン星系、リューゲン星系などに水、木材、建築資材などの惑星開発資源を搬送しているそうです、なんでも輸送の効率化を図るためにイゼルローン要塞への資材もついでに混載している模様です」
「つまりは、我々の開発計画を先取りしたと言う事か、しかも辺境の惑星の開発とは、今までであれば門閥貴族の所領から開発を行うものを、この計画自体が辺境貴族の不満を解消させることも狙いだな。しかも輸送資金の節約をするとは、我らフェザーン商人並みの経済感覚の人間が輸送計画を立てたのかもしれんな」
「自治領主閣下のお考えに同意いたします。誰かフェザーン人が入れ知恵したのかもしれません」
ふん、アイデアは我々の方が先だと言うのに、まんまと先取りしそれどころか帝国の安定を狙うとは、国土尚書ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒという男のアイデアかはたまた別の者のアイデアか、或いはこのフェザーンに裏切り者がいるかだな。これは早急に調べねばならんな。
「各尚書、次官、長官を調べる様にさせよ、さらに輸送計画の立案者も探るのだ」
「その点も既に命じております」
ほう、ボルテック、お前も段々と判るようになって来たか、そうでなければ、この俺の補佐官は勤まらないのだからな。
「帝国での行動は暫く停滞と言う事に成るであろうな」
「残念ではありますが」
「仕方があるまい、暫くは同盟から搾り取ることにするしか有るまい」
「はい。同盟では、先頃同盟でも最大規模の電気機器メーカーイースタン・デジタル社と食品メーカーキャンベラ社の株式の過半数を入手しております」
「それは、気づかれないように名義を複数に分けてあるのだろうな」
「その点は、お任せ下さい」
帝国が皇帝開眼で力を付けつつ有る中、同盟はファザーン資本に内部を食い荒らされていく、このまま行けば遠からず同盟はフェザーンのコントロール下に置かれるであろう、そうすれば我がフェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキーが銀河の戦雲を確実にコントロールする時代が来るわけだな。
「うむ、同盟の産業全般をコントロールする日も近いであろう」
宇宙暦793年 帝国暦484年 2月20日
■フェザーン自治領 自治領主オフィス アドリアン・ルビンスキー
この日、フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキーは補佐官ニコラス・ボルテックから緊急の報告を受けていた。
「自治領主閣下、大変です。シャフト科学技術総監からの情報ですが、新たなことが判明致しました」
慌てて来たかボルテックよ、お前に届く前に俺の所に既に情報は入っているが、それほど驚くほどのことではあるまい、第二イゼルローン要塞など
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