第二百十四話
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第二百十四話 博士の食事量
黙って見ていると。相当な量を食べる博士であった。
枝豆はかなりある。だがそのかなりの量を食べているのであった。
同時にシャンパンもだ。もう二本空けて三本目であった。枝豆の殻はうずたかく積まれている。しかしそれでもまだ食べる博士なのだった。
「そういえば博士も」
「何じゃ?」
「よく食べますよね」
本人にこのことを告げるのだった。
「それもかなり」
「食べんとエネルギーが採れん」
エネルギーだというのである。
「とてものう」
「だからそれだけ食べるんですね」
「いざという時に動けんしのう」
それもあるというのである。
「ほれ、わしは時々二日か三日飲まず食わずで動くじゃろ」
「ええ」
「それも不眠不休でのう」
そうしたこともできるのが博士の恐ろしいところである。この博士にとってはそんなこともごく普通のことでしかないのである。恐ろしいことにだ。
「その時に備えて食い溜めにもなるのじゃ」
「食い溜めできるんですか」
「飲み溜めもできる」
それもだというのだ。
「どちらものう」
「それってかなり凄いですよ」
少なくとも普通の人間の体質ではない。
「そんなことができるなんて」
「わしはできるのじゃよ」
ここでまた一つわかった博士の特異性である。異常性と言ってもいい。どちらにしろまともな人間ではないことは間違いないことである。
「その程度はのう」
「その程度はですか」
「それに頭を使えば腹が減る」
「はい」
このことは小田切君もよくわかった。実際に脳を使うということはそれだけでカロリーをかなり消費するからだ。考えてもカロリーは減るのである。
「じゃからのう。こうしてたらふく飲み食いするのじゃよ」
「そういう理由からだったんですね」
「とにかく飲み食いは不可欠じゃ」
博士もそれは欠かせないのであった。
「絶対にのう」
「何か食べて二百億年ですか」
「食わなくても生きていけるのじゃがな」
この辺りもまた博士であった。
「しかし食うに越したことはない」
「そういうものですかね」
「そういうものじゃ。それではじゃ」
「ええ。今日はとことんまでいきましょう」
「うむ」
この日は特別に二人で何処までも飲み明かすのであった。
第二百十四話 完
2009・8・23
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