第二百十三話
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第二百十三話 飲んでいると
そのシャンパンで枝豆を食べる小田切君。実際にこの組み合わせでじっくりと飲んでみると。中々面白いことだと気付いたのである。
「あれ、結構以上に」
「いいじゃろ」
「はい、飲みやすいですし」
まずはこのことに気付いたのだった。
「それに合いますし」
「シャンパンは最高の酒の一つじゃよ」
博士は目を細めさせてそのシャンパンを飲みながら述べるのだった。
「最高ののう」
「最高ですか」
「最高と言わずして何と言う」
こうまで言い切るのだった。
「シャンパンはまさに酒の貴族なのじゃよ」
「貴族ですか」
「あのビスマルクも愛したのじゃぞ」
言わずと知れたドイツの鉄血宰相である。その卓越した指導力と統率力、内政と外交、とりわけ外交における天才的な手腕でドイツを作り上げた。一メートル九十の大男であり学生時代に数十回の決闘に勝利を収めてもいる。顔には向こう傷まであった男でもある。
「あのビスマルクものう」
「ビスマルクもシャンパンが好きだったんですか」
これは小田切君の知らないことであった。
「それはまた意外ですね」
「意外か」
「だってドイツ人じゃないですか」
だからだという小田切君だった。
「それでシャンパンって」
「ビスマルクは偏狭な人間ではなかったのじゃよ」
しかしここで博士は言うのだった。
「酒にまで国にこだわるようなのう」
「そうだったんですか」
「そうじゃ。美味いものは美味い」
言いながらそのシャンパンを飲む博士だった。
「そういうものじゃよ」
「国は関係なくですか」
「舌には関係ない」
これが博士の主張であった。
「だからビスマルクはシャンパンだったのじゃよ」
「そういうことだったんですね」
「他にはとにかくかなりの量を食べておったが」
ビスマルクについてさらに話す博士だった。
「相当な量をのう」
「そういえば身体が大きかったんですね」
「だからじゃよ」
やはりそれが理由なのだった。
「だからかなり食べたのじゃよ」
「成程」
「そしてわしもじゃ」
言うそばから枝豆を次々に食べる博士であった。
「食べんとのう」
「そう言えば博士も」
博士の背の大きさを思い出した小田切君だった。実はこの博士は意外と長身なのであった。
第二百十三話 完
2009・8・23
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