第二百十話
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第二百十話 煙草はどうか
博士はワインが好きである。そして他の酒はというと。
「ビールも日本酒もいけるんですね」
「しかしやはりワインじゃ」
見れば今日はビールを飲んでいる。しかしこう小田切君に答えるのだ。
「ワインが一番いいのう」
「そうですか。やっぱりワインなんですね」
「うむ」
頷いて答えてそれを認めるのだった。
「そうじゃ。ワインは酒の王者じゃぞ」
「僕もワインは好きですけれどね」
実はお酒はワイン党の小田切君である。このことだけは博士と同じであると言える。その他の部分は言うまでもなく全く違っているのであるが。
「まあお酒はわかりましたけれど」
「後は何がわかっておらん?」
「博士は紅茶もコーヒーも飲まれますよね」
「どちらも好きじゃ」
そちらもいいのである。中々味覚の範囲が広いようである。
「それであと甘いものも」
「甘いものも当然いけるぞ」
それもなのだった。
「チョコレートもお菓子も大好きじゃ」
「お酒も飲めてお茶もコーヒーもいけて甘いものも大好き」
全く隙がないように思える。
「じゃあ嫌いなのは」
「煙草は吸わん」
ここでこう言うのだった。
「あれはやらんぞ」
「そうだったんですか。煙草は」
「麻薬は他人に投下するのは好きじゃ」
これも自分はやらないというのである。
「気に入らん奴を捕まえてそれで麻薬中毒にさせてそれから実験に使ったり廃人にしてからそのうえで始末したりするのは好きじゃ」
「それも最悪の犯罪行為じゃないですか」
小田切君はここでまた博士に対して突っ込みを入れた。
「そんなこともするんですか」
「些細な遊びじゃ」
博士にとって人命はまさに塵芥である。
「気にすることはない」
「気にしますよ。まあとにかくですね」
「うむ」
「煙草は吸われないんですね」
このことを確認するのだった。薬はとりあえず博士自身は絶対にやっていないとわかったのでここでは聞かなかったことにしてしまうのだった。
「それは」
「あれは何もいいことはないからのう」
だから吸わないというのである。
「わしは何の興味もないわ」
「僕も吸わないですけれどね」
何とここでも博士と同じだった小田切君である。
「煙草は」
「吸わなくても構わん」
やはり興味がない博士であった。
「ではビールを飲むのじゃ」
「ええ。それじゃあ」
今は二人で楽しくビールを飲む博士と小田切君だった。珍しく平和な研究所であった。
第二百十話 完
2009・8・10
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