第二百五話
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第二百五話 影が向かい
こうして自分達とそれぞれの使い魔達の影を博士の研究所に向かわせた華奈子達。今は先生の塾にいてそこであれこれと話をしているのだった。
「そういえばさ」
「どうしたの?」
「あたし達影出したけれど」
華奈子が春奈に言ってきていた。
「それでも影今あるけれど」
「ええ」
「これってどういうことなの?」
こう春奈に問うのだった。
「影は出したのに」
「影は幾つでもあるのよ」
春奈はまずはこう華奈子に話すのだった。
「ほら、光を同時にあちこちから浴びる時ってあるじゃない」
「ああ、学校の体育館とかよね」
こう言われるとすぐにわかった華奈子だった。
「天井に一杯ライトがあるわよね」
「そうよ。そこが一番わかりやすいと思うけれど」
「確かにね」
こう言われると実によくわかる華奈子であった。やはり頭は悪くないのである。
「あそこだと影は薄いけれど一杯出て来るわよね」
「それと同じよ。影は幾つでもできるのよ」
ここでまた同じことを話す春奈だった。
「何ならまた他に出せるけれど」
「あっ、それはいいわ」
華奈子はそれはいいとしたのだった。
「それはね。いいから」
「そうなの。いいの」
「だって。皆の影が向かったし」
言いながら影が見ているものも同時に見ていた。二つの場所が同時に頭の中に浮かんでくる、非常に特殊な経験もしているのだった。
「それにライゾウやタロもいるし。もう充分よ」
「そう。それじゃあいいのね」
「けれどこの術って凄いわよ」
華奈子はあらためて感心したような言葉を出した。
「だって。影は幾つも出せるのよね」
「ええ、そうよ」
「その気になったら何個でも同じ場所を見られるから」
華奈子が言うのはこのことだった。
「凄いわよ。これって」
「じゃあこれから使ってみる?皆」
「使いましょう。是非ね」
華奈子が皆を代表して言うのだった。
「ではそういうことでね」
「ええ。じゃあまずは博士の研究所ね」
「遂に来たわよ」
華奈子は影が見ているものを脳内で見ながら言った。
「研究所にね」
「さて。何が見えるかしら」
皆離れてはいても頷くのだった。彼女達は今見るべきものを見ようとしていた。
第二百五話 完
2009・6・30
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