第二百三話
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第二百三話 影の離し方
影を使って偵察をすることにはなった。しかし、であった。
「影をどうやって離すの?」
「そうよね。それよね」
華奈子と赤音が怪訝な顔で春奈に対して尋ねてきた。
「あたしそういった魔法はちょっと知らないけれど」
「春奈ちゃんどうやって見つけたのよ」
「この前先生がやってるの見たの」
春奈はその二人の問いに対して述べるのだった。
「影を離して。それを動かすのをね」
「つまりあれね」
美樹がそれを聞いて少し頷いてから言った。
「門前の小僧習わぬっていうのね」
「うん、それ」
春奈もこくりと頷いて美樹のその言葉に答える。
「それで覚えたの」
「そうなの。いいじゃない」
そして梨花はそれをいいとするのだった。
「そうやって先生の技をこっそり拝借するのも魔女のお勉強の一つよ」
「そうなの」
「先生も言っていたじゃない、これって」
今度は華奈子が明るく笑って戸惑ったようになっていた春奈に対して述べた。
「習うのもいいけれどこっそりその技を盗み見て身に着けるのもいいって」
「そうなの。だったら」
「いいのよ。それで春奈ちゃん」
「え、ええ」
まだ戸惑いは残っていた。それでいつも通り元気な華奈子に対しても遅れを取ったような形になってしまっているのだった。
だがそれでもちゃんと応えはしていた。春奈も昔に比べると強くなっているようである。
「その魔法だけれどどうするの?」
「そうね。それね」
美奈子もそれについて尋ねる。
「肝心の魔法は。どうやって使うの?」
「ええとね」
春奈は美奈子の問いに応えまずは。右手に持つそのステッキを動かしてみせたのだった。
「このステッキをね」
「ええ。ステッキを」
「こうするの」
こう言って足元の影の付け根にちょんと置くのだった。
「それでね。こうやってね」
「うん、こうして」
「こうやって?」
皆もそれに合わせてそれぞれのステッキを足元の影の付け根にやる。
「それからどうするの?」
「これから」
「ここからね」
皆に応えながら今度は。
魔法を唱えるのだった。その魔法は。
「シャドウマジマジマーーーーージ」
こう唱えるとそれで影が離れた。そのうえで一人で動きはじめるのだった。
「こうやるの」
影を離したうえでにこりと笑ってみせる。今皆その動く影を見るのであった。
第二百三話 完
2009・6・22
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