第二十話
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第二十話 攻撃
六人は華奈子と美奈子を軸にしてそれぞれの方角に散る。まずは各方向からそれぞれの魔法を放つ。だがそれは全く効いてはいなかった。
「無駄じゃ」
博士はびくともしない自分のロボットを見て高笑いを続けていた。
「わしのロボットはその程度ではびくともしない」
「多分テポドンに核弾頭つけても破壊できないから」
小田切君がそう六人に説明する。
「君達の魔法じゃ無理だから。まあここはね」
「待て、小田切君」
博士がここで小田切君に声をかけてきた。
「その発言はあの国に核があるような言葉じゃな」
「自分で言ってるじゃないですか」
小田切君は博士にこう返す。
「自分達が核保有国だって。無法なことに」
これ程無法な国家が実在するのも恐ろしい。特撮ものの悪役のようである。
「今あの国に核はないぞ」
「嘘でしょ、それは」
「本当じゃ。だが知っておるのはわしとあのデブの将軍様だけじゃ」
「どういうことですか、それって」
何かやたら物騒な方向に話がいっているのがわかる。聞きたくはないが聞かざるを得なかった。
「簡単じゃ、わしが頂戴した」
実に答えは簡単であった。無法どころの騒ぎではない。
「わしの常温核融合の開発にな。使わせてもらった」
「使わせてもらったって博士」
小田切君は今回も呆れた。
「あの国は洒落になりませんよ」
「安心せい、核がなくなって一番困るのはあの国じゃ」
「まあそうですが」
言われてみればその通りだ。あの国の切り札はそれしかないのだ。考えてみれば実に貧相な切り札である。それがなくなれば何にもならないからだ。
「黙っておれば問題はない」
「拉致されても知りませんよ」
「工作員は全員わしの崇高なる生体実験と愛すべきモンスターの餌じゃ」
「はあ」
「・・・・・・何かさあ」
華奈子は博士と小田切君の会話を聞いて開いた口が塞がらなかった。
「何で今まであの人野放しになってたんだろ」
「そうね」
美奈子も博士の今の言葉には驚きを隠せない。
「北朝鮮からの核兵器を盗んだって」
「そんなのは幾ら何でも」
「誰もしないわよね」
「ふん、甘いわ」
博士はそんな彼女達の言葉を聞いても誇らしげに笑っていた。
「その程度は朝飯前よ、わしの偉大な実験の前にはな」
「警察も何してるんだろうね」
「どうしようもないから私達に、でしょ」
「国家権力だろうが何だろうがわしは止められぬ!」
悪の科学者そのままの言葉を吐き出す。
「何人たりとも!」
「実際に言うとまんま悪の組織の大ボスね」
「同感」
やけに醒めた華奈子と美奈子の声と表情が戦場に響く。戦いは一応は続いていた。
第二十話 完
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