暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜仮面の鬼人〜
4話 仮面と素顔
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てきたばかりなんだ。だから狩りに行く前に少し街を見て回りたくってね」
嘘だ。紛れもない嘘を平然と言っている。仮面を被ると言う事はこんな事も覚悟していたが、仕方ないことだよな。
「そうなんですか、私、シリカっていいます。この子はピナです」
彼女がそう言うと頭に上に乗った竜が「ピィ」と鳴いた。
「えっと……僕はヤヅキ、こっちはエリルです」
「ヤヅキさんですか、どうです? 一緒に狩りに行きませんか?」
そう言われた瞬間、俺の思考はパンクしそうになった。性格にななんでそんな話になるのかが分からなかっただけなのだが、「一緒に」という言葉の対応に困った。感情表現がかなりオーバーなこのゲームだが、俺は何とかそれを抑えることに成功した。
「あ、いや……その、僕は今までソロでやってたからさ、他人と狩りに行った事なんて無いんだ。それに……どうして?」
正直な話し、俺は他人と狩りに行くことには大きな抵抗がある。第一に俺は他人と関わることが得意ではない。第二にこの状況、つまりさっき俺はこの層に上がってきたばかりだと言ったので、何とか実力を下手に見せる必要がある。そして相手は年下、リアルでの俺の実年齢は18、年下を頼った時点で俺は終わる。
「同じビーストテイマーだからです」
理由にならないと思うのは気のせいだろうか……
「う〜ん……でも、僕は今日ここに来たばかりだから足手まといになるかも知れないしな、迷惑掛けると悪いし……」
自分を偽らないと本性が出ない俺なんだが、もう十分偽っている気がしてきた。
「大丈夫です。私が助けてあげますよ!」
そんな自信満々に言われてもな〜……別に攻略組の一人だからっていうからじゃなくて、あまり他人と関わろうとしなかった俺だから他人とどう接していいのか分からない。
それに、断れない雰囲気になってきてる……そして、周りの目線が居たいのは気のせいだろうか……
「それじゃあ……足手まといかも知れないけど一緒に狩りに行かせて貰おうかな」
若干の不安を残しながら俺は彼女とパーティーを組むことを決意した。
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