4話 仮面と素顔
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げる為にこんな所に来たのは初めてだ。
言っておくが、俺は自己中では無いが、普段は一人なので自己中と見られても仕方ない。
俺はゆっくりと歩き出した。
「…………?」
街を歩いていると違和感を覚えた。
早朝からこの街を訪れ、歩いていたものの、人が増えるにつれてどうも違和感を覚えるものだった。
何時もなら多少の目線はあるが、心地よい目線とは言えなかった。
だが、なぜかしら今浴びている目線は物珍しいものを見るかのような物だった。
「……」
いや、理由は分かった。俺の隣にはテトテトと付き従う銀狼が居るからだ。つまりは俺がビーストテイマーだからだ。
使い魔を従えるプレイヤーの総称だが、確かにか数が少なく、珍しい。
とは言え……この目線は慣れないものだ。
新鮮とも言えるのだろう。だが、他人と関わることを避けてきた俺に取ってみれば疲れることなのだろう。
と、そんな時、普通に歩いていると正面に見えた少女に目が止まった。
正確には頭に蒼い竜のような生き物を乗せた少女と言った方がいい。恐らくはビーストテイマー、俺と同じと言えば同じになる。
すれ違い様だったが、ビーストテイマーと言う共通点があったからだろうか、他人に一切関心の無かった俺だが、一瞬だけ引かれた。
だが、ここでは誰とも関わる必要はないだろう。下手をすれば面倒なことになりかねない。
時間潰しにと降りてきたわけだし、ここで知り合いを作って面倒ごとを引き起こす必要はないのだろうしな。
「あ、あの!」
唐突に背後から声がしてふと振り返ってしまった。なぜだろうか、普段なら振り返る事も無いはずなのに……いや、これは間違いだ。普段は声を掛けられないから振り返る必要がないのだ。
振り返ると先ほど目に止まった頭に蒼い竜のような生き物を乗せたツインテールの少女が居た。
「僕に何か用ですか?」
さて、ここでまた解説をしておこう。俺が仮面をしていないとき、つまり自分が自分だと認識されるときに他人行儀となる。言葉遣いも丁寧になって自然と一人称も「僕」に変わってしまう。言うならば素顔が仮面、仮面が素顔と言ったところだ。
ただ単に他人を信用していないから自分の本性を出さないと言う事の表れだろう。
「彼方もビーストテイマーなんですか?」
「ああ、うん、そうだよ」
いつ話してもこの話し方が似合わないと思う。だが、なぜか自然とこの話し方になってしまう。周りに警戒心を抱かさせない話し方だと思うのだが、自然すぎる話し方で逆にこれが仮面だとは思えない。
「あまり見ない方ですが、上がってこられたばかりなんですか?」
正確には降りてきた。だが、そんなことを言えば攻略組だと思われるだろう。そんな事態は避けなければならない。
「そ、そうなんだ。やっとレベルが上がってね、今日の早朝に上がっ
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