第百九十話
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第百九十話 そして最後の一人
美樹の魔法でボートをホバリングさせつつ降りそうして滝の下に着いた。そこに遂に彼女がいたのだった。
「あっ、皆?」
春奈がここで五人に気付いたのだった。
「ボートで来たの?」
「そうよ」
華奈子がにこりと笑って泳いでいる春奈に答えた。
「春奈ちゃん探してね」
「そうなの。有り難う」
探してくれたと聞いてまずは礼を言う春奈だった。
「私を探してくれて」
「いいのよ。これで皆揃ったしね」
「そうね」
美奈子が華奈子の今の言葉に頷く。
「これでね」
「さて、春奈ちゃんも乗って」
そして春奈にボートに乗るよう勧める。
「これで帰られるわ」
「そうね。私もそろそろって思ったし」
それについては春奈も同じ意見なのであった。
「じゃあ。ボート、乗っていい?」
「っていうか乗ってもらわないと困るし」
「そうそう」
皆思わず突っ込んでしまった。やはりこの辺りはおっとりしている春奈だった。
「乗って乗って」
「帰るし」
「うん。それじゃあ」
こうしてやっと乗る春奈だった。華奈子は彼女が乗って前で先導役になったところであらためて彼女に対して尋ねるのであった。
「それで春奈ちゃん」
「ええ」
「滝壺で何やってたの?」
青いビキニと半ズボンタイプの水着姿の彼女に対して尋ねる。
「あんな場所で」
「ちょっと滝を昇ってたの」
こう言う春奈だった。
「泳いでね。やってたのよ」
「そんなことしてたの」
「魔法で後ろから追い上げてね。何回かそれしてて」
「しかも何回も」
「ちゃんと一番上までいってるわよ」
このことも話すのだった。
「それでまた降りてそれを繰り返して」
「流石ね」
華奈子は春奈の今の言葉を聞いて唸るように頷いた。
「春奈ちゃん、泳ぎも水の魔法もグレードアップさせたのね」
「泳ぐのは得意だから」
謙遜して答える春奈だった。
「だからそれは」
「凄いのには変わりないわよ。そうね、春奈ちゃんも凄いのね」
その春奈の凄さをあらためて感じる華奈子だった。
「何か皆に負けていられないかも」
そしてこうも言うのだった。六人が六人それぞれいい意味でライバルになってきていた。
第百九十話 完
2009・5・5
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