壱ノ巻
青の炎
1
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ていた筈だ。つまりは前田がいなければいいと。邪魔になるのなら消せと。そう教わってきた。
「母を、か?」
「まさか。前田を、です」
若はにいっと笑った。
「おまえならそう言ってくれると思っていた。どうする、殺すか、全員。それとも・・・」
「全員ですね。ただの戯れにしては度が過ぎています。私が殺りましょう」
「おまえが?一人で全員だぞ?」
「お任せください」
「…どのくらいで出来る?」
「一月もかからないでしょう」
「相手は前田の本家の奴らだ。村雨が関わっているとわかれば終わりだ。最悪母が諦めればいいからな、当主だけでもいい。無理だと思ったらすぐ戻って来い」
そう言われて、俺は前田の本家に取り入った。
けれど、ここは、何なのだ!
若に、養母を誑かしたのは前田のものか、間違いないかと聞いたとき、確かに頷いて間違いないといったのを俺は確認している。だが、前田家にいざ来てみると、村雨家とは何もかもが違うのだ。違いすぎるのだ!
少しでも顔色が悪いと声をかけ、傷があるといってはすぐに手当をしてくれる。上下身分の関係無くだ。前田家の当主自ら手当てされそうになったときは、流石の俺でも夢ではないかと疑ったものだ。
村雨ではそんなことは天地がひっくり返っても絶対に起こらない。いや、村雨に限らず何処の家でも普通はそうだろう。
それとわかるほどに顔色が悪くても、誰も何も言わずに真横を通り過ぎる。傷があっても、自分で手当てするだろうとほおって置く。俺も例外ではなかった。一瞥しただけで通り過ぎるのだ、皆が。一人の例外も無く!
それでも、まだ大丈夫だった。まだ、憎めた。こいつらは、猫を被っているのだと、例えそうでなくても村雨の邪魔になるのなら消すべきだと、そう自分に言い聞かせれば、まだ、大丈夫だったのだ。
だが、あの女だ!あの女が、俺を狂わせるのだ!
俺は再び、強く拳を柱に叩きつけた。
鈍い音が鳴って、それが耳の奥で木霊する。
クソッ!
前田に取り込もうなんて思わなければよかった。すぐに殺してしまえばよかった。
殺す相手と接触して、情が移るのは忍として最も避けなければならないことだ。
けれど、今までに俺はそんなことは無かった。なかったのに・・・・・!
今日、どうして俺はあいつを殺そうと思ったんだ。
どうして、あいつは泣いていたんだ!
俺は高ぶった感情を抑
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ