暁 〜小説投稿サイト〜
戦国御伽草子
壱ノ巻
青の炎

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ていた筈だ。つまりは前田がいなければいいと。邪魔になるのなら消せと。そう教わってきた。



「母を、か?」



「まさか。前田を、です」



若はにいっと笑った。



「おまえならそう言ってくれると思っていた。どうする、殺すか、全員。それとも・・・」



「全員ですね。ただの戯れにしては度が過ぎています。私が殺りましょう」



「おまえが?一人で全員だぞ?」



「お任せください」



「…どのくらいで出来る?」



「一月もかからないでしょう」



「相手は前田の本家の奴らだ。村雨が関わっているとわかれば終わりだ。最悪母が諦めればいいからな、当主だけでもいい。無理だと思ったらすぐ戻って来い」



そう言われて、俺は前田の本家に取り入った。



けれど、ここは、何なのだ!



若に、養母を誑かしたのは前田のものか、間違いないかと聞いたとき、確かに頷いて間違いないといったのを俺は確認している。だが、前田家にいざ来てみると、村雨家とは何もかもが違うのだ。違いすぎるのだ!



少しでも顔色が悪いと声をかけ、傷があるといってはすぐに手当をしてくれる。上下身分の関係無くだ。前田家の当主自ら手当てされそうになったときは、流石の俺でも夢ではないかと疑ったものだ。



村雨ではそんなことは天地がひっくり返っても絶対に起こらない。いや、村雨に限らず何処の家でも普通はそうだろう。



それとわかるほどに顔色が悪くても、誰も何も言わずに真横を通り過ぎる。傷があっても、自分で手当てするだろうとほおって置く。俺も例外ではなかった。一瞥(いちべつ)しただけで通り過ぎるのだ、皆が。一人の例外も無く!



それでも、まだ大丈夫だった。まだ、憎めた。こいつらは、猫を被っているのだと、例えそうでなくても村雨の邪魔になるのなら消すべきだと、そう自分に言い聞かせれば、まだ、大丈夫だったのだ。



だが、あの女だ!あの女が、俺を狂わせるのだ!



俺は再び、強く拳を柱に叩きつけた。



鈍い音が鳴って、それが耳の奥で木霊する。



クソッ!



前田に取り込もうなんて思わなければよかった。すぐに殺してしまえばよかった。



殺す相手と接触して、情が移るのは忍として最も避けなければならないことだ。



けれど、今までに俺はそんなことは無かった。なかったのに・・・・・!



今日、どうして俺はあいつを殺そうと思ったんだ。



どうして、あいつは泣いていたんだ!



俺は高ぶった感情を抑
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