第百六十七話
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第百六十七話 占拠させて
組織のビルはあえなく全員死んでしまった。後に残っているのは屍だけである。
「さて、皆死んだようじゃな」
「見事に大量虐殺なんですけれど」
「気にすることはない」
小田切君の突っ込みに平然と返すのもいつものことだ。
「さて、それでじゃ」
「次は何をされるんですか?」
「食事じゃ」
何処からかテーブルと椅子を出して来た。
「もうお昼じゃからのう」
「食事って」
「さて、今日はマカロニと牡蠣のグラタンじゃな」
小田切君の話は今度は聞いていないのだった。
「ワインは赤じゃな。イタリアのランブルスコがいいかのう」
「ワインはいいですけれど」
「あとフェットチーネじゃな」
やはり話を聞いてはいない。
「イカ墨で決めるかのう。あとサラダと肉は鳩じゃな」
「こんなところで食事ですか?」
「外で食べるのもいいものじゃぞ」
やっと小田切君の話を聞いた。
「わしは好きじゃがな」
「博士が外で食べるのが好きなのは知ってますよ」
以前からそうして食べていたりするからだ。青空の下で気持ちよく食べるのが博士のお気に入りなのである。この辺りは趣味である。
「それでもですね」
「小田切君の分もあるぞ」
「そうなんですか」
「鳩はオリーブ煮じゃな」
メインディッシュについてももう決めていた。
「それと魚は。鰯を焼いてのう」
「鰯ですか」
「パンは柔らかい食パンでじゃ」
完全に洋食であった。
「デザートはすぐりのパイじゃ。これで全部まとまったな」
「はあ」
「では早速」
今度はテーブルかけを出してそれをテーブルに置くとそれだけで料理が出て来た。当然ながらワインも一緒についている。
「食べるとするか」
「そのテーブルかけも発明品なんですね」40
「うむ」
小田切君の問いにあっさりと答える。
「その通りじゃ。ネコ型ロボットの道具からヒントを得たのじゃよ」
「あのロボットからですか」
「あのロボットの持っているものはどれも実に興味深い」
席についた小田切君と向かい合いグラタンを食べながら述べる。
「どれもこれもな。わしの手にかかれば」
「どうなるんですか?」
「この世を大混乱に陥れる最高の兵器となる。また何か開発してみるとしよう」
またしても碌でもないことを考えていた。博士は惨い死体の山を前にして悠然と食事に入るのであった。
第百六十七話 完
2009・2・20
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