第百六十一話
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第百六十一話 マントの秘密
博士と日本軍の非常識を通り越して異次元とも言うべき戦いの話は終わった。だが博士の話はこれで終わりではないのであった。
「日本軍は強かった」
「それはわかったよ」
「けれどそれだけ?」
ライゾウもタロも博士に対してさらに尋ねるのだった。
「まだ何かありそうだけれど」
「とりあえずどうやって銀河の中央から帰ったの?」
「そんなことは簡単じゃ」
そもそもどうやって行ったのかすら謎だがそれについても答えるのだった。
「このマントじゃがな」
「マント!?」
「そのマント!?」
「うむ」
ここでいつも羽織っているそのマントを持って話す博士であった。
「これを使って瞬間移動が出来るのじゃよ」
「宇宙空間にも?」
「銀河の中央まで」
「わしは真空中でも呼吸できる」
また一つわかった博士の特殊能力である。とりあえず人間の能力かどうかはここでは問題にはなっていない。
「それでじゃ。銀河の中央までな」
「うん」
「それで?」
「一瞬で行けるのじゃよ」
これまたあっさりと答えたのであった。
「これを上に被るだけでな」
「そのマントそんな能力があったんだ」
「ただの飾りだと思ってたのに」
「飾り?馬鹿を言うでない」
二匹の今の言葉にも普通に返す。
「わしの持っておるものは全てわしの発明品じゃ」
「そういえばそうだったっけ」
「あの鞭もそうだしね」
「だからじゃ。このマントにしろじゃ」
またマントの話をする。
「普通にのう。瞬間移動にも使えるのじゃよ」
「もう何が何だか」
「話が余計滅茶苦茶になっていってるような」
「それで地球まで帰ったのじゃよ」
呆れる二人をよそに博士の話は続く。
「帰ったら玉音放送じゃった」
つまり昭和二十年八月十五日だったのである。
「耐え難きを耐え、忍び難きを忍びのう」
「っていうか博士がアポカリュプシスしようとしなかったら日本軍負けてなかったじゃない」
「そういえばそうだね」
タロはライゾウの言葉であらためてそのことに気付いた。
「何かそれ考えたら博士のせいでその玉音放送だし」
「今更そういうこと言われてもねえ」
「まあちょっと前の話じゃ」
博士の時間感覚ではそうらしい。しかも博士の狂気の行いは戦後間も無くも続いたのである。
第百六十一話 完
2009・1・6
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