第百五十六話
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第百五十六話 場所を変えて
小田切君と先生達は三人になっても話を続けた。そしてここで今田小百合先生がふと言うのであった。
「それでですね」
「はい」
小田切君が小百合先生の言葉に応えた。
「もうここのお菓子は堪能されましたよね」
「ええ、まあ」
小百合先生の言葉に頷く小田切君だった。
「美味しかったです」
「お茶は」
「それもよかったです」
お茶についても答えた。
「やはり。堪能させてもらいました」
「わかりました。それではですね」
「何かありますか?」
「場所を。変えませんか」
小百合先生はこう提案してきたのだった。
「場所を。どうでしょうか」
「場所をですか」
「お時間はおありですか?」
「はい、今は」
博士がまた何やら怪しげな研究だの開発だのに入ったからである。そうした場合は常に後で第惨事になるのだが少なくとも今は暇なのであった。小田切君は。
「まだ結構あります」
「そうですか。それではですね」
「何処に行かれるのですか?」
「喫茶店です」
これが小百合先生の返事であった。
「いい喫茶店を知っていまして」
「喫茶店ですが」
「和菓子の次は洋菓子を」
流れとしては悪くなかった。お菓子のはしごというのも中々いい趣味である。大人の女性でこれを楽しむ人は結構多かったりするのである。
「如何でしょうか」
「いいですね」
そしてそれは小田切君も同じであった。
「それじゃあそれで」
「洋菓子もお好きなんですか」
「はい、実は」
甘いものも結構以上に好きなのである。
「そちらも。博士もあれで結構お菓子が好きですし」
「そうなのですか」
「博士は洋菓子派でして」
スペイン料理をこよなく愛しているからそれも当然であった。なおスペインの菓子の特徴としてかなり甘い。甘いものは徹底的に甘くするのがスペイン人であるのだ。
「それもありまして」
「それでは宜しいですね」
「ええ。御願いします」
「わかりました」
「それでは」
香先生も応える。こうして小田切君は今度は洋菓子を食べに行くのであった。何と両手に花、ダブルデートの状態という何とも羨ましい状況でだ。
第百五十六話 完
2008・12・9
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