第百五十五話
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第百五十五話 またお一人
そんなとりとめのない話を二人でしているとここで。もう一人店に来たのであった。
「あっ、香ちゃん」
「小百合ちゃん」
今田先生はすぐにその人に笑顔で言葉を返した。小田切君がその人を見ると。彼はすぐにその目を大きく見開くことになったのであった。
「ええっ!?」
「ええって」
「どうされたんですか?」
その人にまで言われる。見ればその人は何と。
今田先生そっくりだった。というよりはクローンであった。殆どそうとしか見えないのであった。
「先生がお二人!?」
「はい、そうです」
「そうですって」
今のもう一人の先生の言葉が小田切君をさらに混乱させたのだった。
「それじゃあ。ドッペルゲンガー!?」
「違いますよ」
今田先生が笑顔でそれは否定する。
「私は一人ですよ」
「けれど今」
声を慌てさせながら言う小田切君だった。
「二人って。確かに」
「二人ですよ」
もう一人の今田先生が言う。見れば最初からいる今田先生は金色の服で新しく来た今田先生が銀色だ。それで何とか見分けがついてはいた。
「先生は二人です」
「先生は!?」
ここで言葉に気付いた小田切君だった。
「先生は二人ですよね」
「はい」
「そうですよ」
二人並んで笑顔で答えてくる。やはり服の色以外は完全なクローンである。
「けれど今田香先生は」
「私です」
金色の服の今田先生が答えてきた。
「私です」
「それじゃあそちらの方は」
「今田小百合と申します」
銀色の今田先生が名乗ってきた。
「宜しく御願いします」
「従姉妹なんです」40
今田香先生の説明である。
「実は」
「成程」
ここまで話を聞いて完全に納得した小田切君だった。
「だからなんですか。そっくりですね」
「はい、よく言われます」
「子供の頃からです」
「そうでしょうね」
そのことに頷く小田切君だった。彼が見ても全く同じに見えるからだ。最早そこには何の説明も不要であった。何しろ全く同じ容姿であるのだから。
第百五十五話 完
2008・12・9
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