第百四十八話
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第百四十八話 そのお抹茶は
先生に案内されて入ったお店は。これまた実に和風だった。
黒い木を基調とした店の内装は物静かで尚且つそのメニューは筆で書いたものだった。そして当然ながらテーブルも椅子も木製であり和風の造りだ。何もかもが実に和風だった。
「ここなんですか」
「どうでしょうか」
小田切君の向かい側に座っている先生がにこりと笑って尋ねてきたのだった。
「このお店は」
「そうですね」
まず一呼吸置いてから答える小田切君だった。
「感じが凄くいいですね」
「落ち着きますよね」
「はい」
先生の問いに対して答える。
「本当に。ここは」
「日本は落ち着くんですよ」
先生の言葉である。
「こうしているだけで」
「いるだけでですか」
「そうです。ですから」
「ここに案内してくれたんですか」
「勿論それだけではありません」
先生のにこやかな笑顔と共の言葉は続く。
「そのお抹茶もです」
「お抹茶もですか」
「お抹茶お好きですよね」
「はい、お茶でしたら何でも」
こう答える小田切君だった。
「大好きです」
「それなら。安心しました」
またにこやかな笑みを小田切君に見せる先生だった。
「それでは。お茶菓子はです」
「何がいいですか?」
「羊羹はどうでしょうか」
先生が言ったのは羊羹だった。
「蒸し羊羹は」
「そうですね。それじゃあ僕は」
ここで小田切君は羊羹と聞いてあるものを頼んだのだった。
「栗羊羹を頼みます」
「あっ、いいものを頼まれますね」
先生は小田切君が栗羊羹を頼もうというのを聞いてまたその笑顔で言ってきた。
「私それも好きなんですよ」
「蒸し羊羹だけではなくてですか」
「はい。それではその羊羹をそれぞれ」
「頼みますか」
「飲み物は勿論」
それはもう決まっていた。
「お抹茶で」
「わかりました。それではそれで」
「はい」
こうしてそれぞれお抹茶と羊羹を頼む二人であった。その二つが来てから。二人はあらためて話をするのだった。
第百四十八話 完
2008・11・13
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