第百四十五話
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第百四十五話 小田切君の散歩
小田切君にも趣味はある。実は結構多趣味でもある。
「音楽鑑賞に読書にゲームに切手の収集にね」
「インドアばかりじゃないの?」
「そうだよな」
「あと散歩とかね」
こうライゾウ兄とタロ弟に対して話していた。
「そういうのが趣味なんだ」
「ふうん、じゃあ毎日歩いてるんだ」
「健康的だね」
「最近じゃランニングとか筋肉トレーニングもしてるよ」
「ああ、そういえば何か」
「身体も引き締まってきているし」
「そうじゃないと身体がね」
ここでは少し苦笑いになっていた。
「もたないからね」
「まあそうだよな、それは」
「博士と一緒にいたらね」
その辺りはもう説明不要だった。地球規模で迷惑やトラブルを起こし続けている博士の助手である。やはり体力がなくてはやっていけないのだ。
「それにさ。何かおいら達って」
「どうにもね」
「どうかしたの?」
「いや、結構暇じゃないかい?」
「小田切君にしろ」
ここで二匹は小田切君に対して言うのだった。
「大抵定時で帰ってないかい?」
「いても結構自由時間あるし」
「ああ、そういえば結構」
言われてみればそうである。そもそも博士は博士にしかできないような発明ばかりするからである。他人ができるものではないのだ。
「お給料の割りにはね」
「それ考えたら結構身体鍛えたり趣味に時間割けてるよな」
「どうかな」
「そうだね」
小田切君もそのことに気付いたのだった。
「僕も買い物に行く時間多いしね」
「食材とかお酒だよね」
「博士ってこだわりの人だから」
意外なことにそうなのだ。これは兵器や危険物に対するこだわりだけではない。服装にもこだわっているし他のことに対してもなのである。
「料理だってね。自分で作るしね」
「時々自分で買いに行くしね」
「確かにね」
「やってる仕事って僕って」
ここで考えてみる。
「あれっ、あまりないかも」
「ないんだ」
「実は」
「ひょっとして」
よくよく考えてみればそうかも知れない。小田切君も実は意外とおかしな日常を送っているようである。
第百四十五話 完
2008・11・7
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