第百四十四話
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第百四十四話 その次の発明は
早速次の発明に取り掛かる博士。今度は。
「さて、とじゃ」
「今度は何発明するんですか?」
「あの鉄人の武器じゃよ」
「武器ですか」
「うむ」
こう小田切君に対して答える。既に研究室で一人発明に専念している。
「その通りじゃ」
「で、何発明するつもりなんですか?」
「簡単に言えば大量破壊兵器じゃ」
またしてもよりによってこういったものであった。
「それをな。ちょいとな」
「ちょいと、ですか」
「街の一個は簡単に潰せる」
また実に物騒である。
「どうじゃ。いいものじゃろ」
「で、それを鉄人につけて何をするんですか?」
とりあえずそれは聞いた。内心またか、と思っていたが。
「どっか攻撃するんですか?」
「自衛隊の富士演習場に突っ込ませる」
またしてもこんなことを考えているのであった。
「ちょいとな。軽くな」
「軽くなって」
「そもそもじゃ。自衛隊は」
「自衛隊は?」
「あまりにも腑抜けておる」
随分と身勝手な自衛隊批判であったがその批判の言葉自体は正論であった。もっとも問題があるのは日本政府こそであるが。
「少しカツを入れておく」
「カツですか」
「そうじゃ。このわしがな」
「大体さあ」
「そうだよなあ」
そして後ろでまたライゾウ兄とタロ弟が話をするのであった。
「この博士を野放し同然にしている日本政府って凄いよな」
「怪獣よりも悪質なのに」
「有事立法とか破壊活動防止法は?」
「適用しないんだね」
「ああ、そういうのが通用する人じゃないから」
小田切君の言葉は実に冷めたものであった。
「だからね。それはね」
「無視しているんだ」
「そういうこと。けれど時々南極とか宇宙に隔離してるし」
それでも戻って来るのが博士であるが。
「まあそういうのはね」
「法律じゃどうしようもないんだな、結局のところ」
「困った博士だよ」
「ふふふ、さあできたぞ」
彼等の言葉をよそに完成を喜んでいる。
「これでまた。鉄人が暴れるぞ」
こうして知らず知らずのうちにまた博士のターゲットにされる自衛隊であった。彼等の不幸はまだまだ続くのであった。
第百四十四話 完
2008・11・6
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