第百四十一話
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第百四十一話 相変わらず非常識に
魔女達が己の力量をあげているその頃。博士はいつもと変わりない日常を送っていた。今日はこの前怪獣を送って廃墟にした地上の楽園にまた何かをしようと考えていたのだ。
「さて、今度はじゃ」
「あのならず者国家にまた何かするんですか」
「わしはあの国が嫌いじゃ」
好き嫌いで動いて大惨事を引き起こすのがこの博士の常だ。
「だからじゃ。今日もな」
「それで今度は何するんですか?」
「雨を降らせてやる」
今度はこれだというのだ。
「雨をな」
「意外とまともですね」
「どうせなあ」
「その雨がとんでもない代物に決まってるさ」
小田切君とは違ってタロ弟とライゾウ兄は既に達観していた。
「酸性雨なんて生易しいものじゃなくてさ」
「今度は何なのさ、博士」
「酸性雨!?下らん」
やはりこんなことを言い出してきた。
「そんな甘いものをわざわざこのわしが開発するものですか」
「ああ、そうなんですか」
小田切君は博士の今の言葉を聞いてまたうんざりとした顔になる。
「何かって思えば」
「有機王水じゃ」
やはりこれであった。
「しかもそれを思いきり凝縮したものをな。降らせてやる」
「それで大変なことになっていいんですか?」
「結構なことじゃ」
大変なことこそ博士の望むところなのだ。やはり実に悪質だ。
「そうでなくては面白くがない。違うか小田切君」
「面白くないと意味ないんですか」
「当たり前じゃ。わしは天才じゃぞ」
天才だが同時に天災でもある。
「このわしが発明するものが面白くなくてどうするのじゃ」
「そうですか。それでですね」
「うむ」
「一体どういったふうに雨を降らすんですか?」
そこが問題であった。
「あの街だけにするんですか?それで」
「まず恐竜達をじゃ」
「はい」
「竹島に戻す」
まずはそれであった。
「途中半島を横断させてのう」
「そっちにも災厄をもたらすんですか」
「そのまま海を行かせては面白くないじゃろ。だからじゃ」
「はあ」
「まあ見ておれ」
暗がりのスポットの中不気味な笑みを浮かべての言葉だった。
「わしの天才ぶりをな。今度もな」
「期待しないで待ってます」
こう言うのが精一杯であった。何はともあれ今度は雨であった。
第百四十話 完
2008・10・22
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