第百三十八話
[8]前話 [2]次話
第百三十八話 音もまた
「あたし達全員魔法のレベルがあがってるのよね」
「それもかなりね」
「じゃああんたもそうなるわよ」
筋が通っていないようで通っている華奈子の理屈であった。
「その魔法はね」
「そうかしら」
「何なら太鼓判押してあげるわよ」
こうまで言う華奈子であった。
「試しに使ってみれば?絶対に凄いことになってるから」
「絶対になの」
「あたし達全員がそうなのよ」
このことをまた言うのであった。
「だったらあんたもね」
「そんなに言うのなら。それじゃあ」
「さあ、どうぞ」
少しおどけてみせて美奈子をリラックスさせる。この辺りの細かい気配りもできるようになってきている華奈子だった。この面でも成長していると言えた。
「やってみて。さあ」
「そんなに言うのなら」
美奈子は横笛を口に当てる。そのまま吹くと。何と周りのあらゆるものが動きだしたのだった。
命がない筈の石も動かない花々や木々も。それぞれ動く。踊る様に舞う様に。これもまた今までの美奈子の魔法にはなかったものだった。
「嘘・・・・・・」
「嘘じゃないわ」
美奈子に対して微笑んで告げる華奈子だった。
「これがあんたの成長なのよ」
「これが私の」
「自分でも凄いと思うでしょ」
「嘘みたいよ」
偽らざる彼女の本音だった。
「私がこんな凄い魔法を使えるようになったなんて」
「あんたの音楽も。凄くなったわね」
「まだ。それでも」
「だから。謙遜しなくていいのよ」
戸惑い続けている美奈子に対してまた言う。
「あんたが実際に使ってるんだからね」
「ううん、それでも」
「何よ、あたし達に言ったのはあんたよ」
華奈子はこのことをくどいまでに美奈子自身に告げる。
「そのあんたがそんなのでどうするのよ。とにかくね」
「とにかく?」
「これで六人全員パワーアップよ」
ここを力説する華奈子だった。
「さて、あの博士の相手もちょっとはできるようになったかしらね」
「それでもね」
美奈子はいつものクールな表情に戻って華奈子に言ってきた。
「一人では絶対に無理ね」
「やっぱり六人全員でないと駄目なのね」
「ええ。それはしっかりとわかっていてね」
「了解」
やはり最後は真面目な美奈子で締めるのだった。こうしてそれぞれの成長を知った六人であった。
第百三十八話 完
2008・10・6
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ