第百三十話
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第百三十話 ここが変わっていた
法衣を着て使い魔達と悶着をやってから箒に乗って先生の塾に向かう。使い魔達はそれぞれ小さくなって二人の法衣のポケットに入っている。美奈子は華奈子と並んで飛びながらその華奈子に声をかけてきた。
「ねえ華奈子」
「何?」
「まだ時間あるわよ」
こう声をかけてきたのである。
「少しね」
「そうなの」
「そうなのって。それだけなのね」
あらためて彼女の言葉に頷く。
「もう」
「!?もうって?」
華奈子は美奈子の今の言葉の意味がわからず目をしばたかせる。
「どういうことなの?それって」
「お菓子屋さんとかスーパーとか寄らないのね」
美奈子が言うのはこのことだった。
「もう。寄らないのね」
「だって寄る位なら」
華奈子はここで言う。
「少しでも早く言って魔法のお勉強とかお稽古とかした方がいいじゃない」
「そっちの方が優先なのね」
「相手はあの博士よ」
今度は怪訝な顔になって美奈子に述べる。
「少しでも強くならないと駄目じゃない。そうでしょ?」
「確かにね」
今の華奈子の言葉にはその通りだと頷く美奈子だった。
「そうよ。あの博士は本当にそうそう簡単には勝てないわよ」
「だからなんだけれど」
「そこよ」
美奈子は今度は指摘してきた。
「そこなのよ。変わったのは」
「やっぱり何が何なのかわからないけれど」
美奈子の顔はすっきりしているがそれとは反比例して華奈子の顔は怪訝なものだ。しかもその色はさらに濃いものになっていっている。
「何処が変わったのよ」
「だから。少しでも魔法を身に着けようとしているわよね」
「ええ」
「遊ぶのよりも優先させてね。そういうことなのよ」
「成程」
ここでも美奈子に言われて気付く華奈子であった。
「そういうことなの。言われてみればそうね」
「遊ぶのよりそっちを優先させるようになったわね」
「自分でもそれは気付かなかったわ」
右手の人差し指の腹のところを口に当てて述べる華奈子だった。
「そこが変わったの」
「変わったわ。けれどいい感じよ」
また華奈子に告げる。
「魔女としてはね」
「ううん、何か言われてもわからないわ」
自分ではどうしても実感できないままだった。けれどそれでも華奈子も大きく変わったのだった。それは皆についても言えることだった。
第百三十話 完
2008・9・9
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