第百二十六話
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第百二十六話 迷惑な鉄人
今度は鉄人であった。その鉄人により街が破壊されていく。
「皆さん、御覧下さい!」
アナウンサーが切羽詰った声で実況中継している。その後ろでは異常に巨大なロボットが街を破壊しまくっていた。人々も逃げ惑っている。
「今度はロボットです!天本博士がまたやってくれました!」
テレビの画面に向かって絶叫している。
「街が!街が!もう!うわああああああああああっ!」
画面が切れた。それで終わりだった。特撮映画そのままの惨状であった。
「あれで諦めるとは思ってなかったけれどねえ」
「それでもね」
華奈子と美奈子は並んでその真っ黒になった画面を見ている。見ながら呆れ果てた顔になっていた。
「今度はロボットなんだ」
「色々なもの開発してるのね」
「そういえばさ」
ここで華奈子が美奈子に言う。
「あの博士科学だけじゃないんだって」
「他にも色々やってるのね」
「化学とか医学とか工学とか生物学とか」
そういった知識を全てとんでもないことに使っているのが博士である。まともな方向に使おうという考えも発想も微塵もない御仁なのだ。
「あと魔術とか妖術とか錬金術もやってるんだって」
「魔術って私達のじゃない」
「そっちもやってるらしいのよ。今田先生のお話だと」
「それはかなり面倒ね」
あらためてこのことを認識する美奈子であった。
「魔術までなんて」
「あと仙術とか陰陽道とかにも精通しているらしいわ」
「しかもそういったのを全部とんでもない方向に使うのね」
「それだけは間違いないんだって」
その為に学んでいるから当然であった。
「どれだけ生きているかわからないけれどまともな方向に行ったことのない人らしいから」
「厄介に厄介が重なってまあ」
美奈子も絶句する程というわけなのだ。
「無茶苦茶ね」
「それで美奈子」
華奈子はさらに美奈子に言う。
「何?」
「あのロボットね、今度は」
「ああ、あれね」
「何か素っ気無いわね」
「もう慣れたから」
クールな美奈子の返事であった。
「いい加減ね」
「そうなの」
「そうよ。だからね」
美奈子はまた華奈子に言う。
「またやるだけよ。いいわね」
「そうね。それじゃあ」
「ええ」
こうして次の戦いへの決意を冷めて固める二人であった。いい加減わかってきたのであろうか。
第百二十六話 完
2008・8・21
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