青葉時代・決着編
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せて、私の首元を包んでいた真っ白な包帯を解いた。
「――――っ!?」
弟妹達の話によれば、私が眠っていた期間はおよそ三日間。
それだけあれば、千手どころか全忍の中でもトップクラスの再生能力を誇る私の肉体は掛けられている自動治癒の効果を発動して、大体の傷ならば治してしまう。
事実、全身を苛む気怠さこそあるものの私自身の肉体自体はほぼ完治状態であった。
――だと、いうのに。
「おいおい……。冗談じゃないぞ、これは」
思わず引き攣った微笑みが浮かぶ。
というか、こんな顔しか出来ないわ。
他の傷――マダラとの戦闘中に付けられた他の傷は見るまでも無く癒えていると言うのに、それに比べれば遥かに軽症であるこの傷がまだ残っているなんて。
鏡に映った私の首。
そこには丁度、人の指を象った青黒い痣が浮かんでいた。
……こういうの、どっかで見た事あるぞ。――主に絞殺死体とかそういうので。
まるで首元を囲む枷の様に見えるその痣に、眉根が顰められる。
原因は分かっている。戦闘の最中のあの首絞めのせいだろう。というか、それしか思い浮かばない。
にしても、三日経ってもまだ残っているなんて、かつての私では考えられない。
ここはマダラの怨念かなにかと考えた方が良さそうだな。……執念深そうだし、あいつ。
男と誤摩化すにはやや細めの首を隠すために、私は日常的にタートルネック系の服を利用していたのだが、今回ばかりは助かった。今更身なりを変えれば皆訝しむだろうが、火影の服といい首元を隠す物を使用すればまずバレないだろう。
そんな事をつらつらと考える。
そうして額を冷たい鏡に押し当てると、首元に片手の指先を添えた。
「――私は……方針こそ違えど、同じ里を守る仲間だと……思っていたんだがなぁ」
里を襲撃する様な相手に対して情けをかける様な言動は、長として失格だ。
以前の両親殺害との時とは全く土台が違う。
完全なる私怨での凶行は誰であったとしても、寧ろ木の葉の里の創設者の一人であるマダラだからこそ許されないだろう。
だから、今だけだ――私が泣き言を言うのは。
「待っていたんだからな、馬鹿野郎……」
――その声は誰に聞かれる事も無く、ただただ部屋の空気の中に消えていく。
無性に、哀しかった。そしてそう思ってしまう自分の甘さを、心底苦々しく思ってしまった。
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