青葉時代・決着編
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事を……! 人柱力がどんな存在なのか、うずまきの系譜に連なるお前が分かっていなかった筈が無いだろう! なのに、なんでそんな事をしたんだ!!」
ああ、確かに容易かっただろう。
マダラに酷使され、私に力を封じられていた九喇嘛をミトの中へと封じ込めるのは。
元よりミトは封印術に長けたうずまきの出。それだけの好条件が揃った中で出来ない筈が無い。
「大丈夫ですとも、柱間様。九尾は私の中で大人しくしてもらいます。そして私と言う『兵器』がいる以上、他国の者達は私の中の九尾を恐れて、木の葉には迂闊に手が出せません」
「そう言うことを言っているんじゃない! 扉間、何故止めなかった!?」
悲鳴の様な声が喉の奥より絞り出される。
銀の髪を揺らした弟が耐える様に視線を落とす。そんな私の視線から扉間を守る様に、ミトが笑って前に出た。
「扉間を責めないで下さい、柱間様。皆が賛成する中で、彼だけが最後まで私の身を案じて反対してくれました。それを振り切ったのは私です」
やっと、お二人の――里の皆の役に立てるのですもの。
そう宣言され、全身が硬直する。私の視界を占有するミトは嬉しそうに微笑んだ。
「これは私の意思です。――いつも私はお二人に守られてばかりで……それが嫌だった。だからこそ眠っている九尾を見た時に、これがお二人へと恩返しが出来る最大のチャンスだと思いましたわ」
――ごめん、九喇嘛。
野を野放図に駆け抜けていくお前の姿が好きだったけれど、私はお前を選んでミトを切り捨てられない。
尾獣を抜かれた人柱力は命を落とす――それを知っているからこそ、私はお前ではなくミトを選ぶしか無い。
私の内心を知ってか知らずか、ミトはこの上無く幸せそうに微笑む。
なんて不甲斐無い、なんて情けない。
もっと早くに目を覚ませば、ミトの決心を止める事が出来たと言うのに。
悔しくて、悔しくて、歯を食いしばる。涙が流れそうになるのを堪えていれば、ミトがそっと私に抱きついた。
「――……柱間様。私、九尾と話しましたの」
「……!」
「人柱力は自身の身に宿す尾獣と会話する事が出来ますのよ。それで柱間様に伝言があるのですって」
か細い声は注意して聞き取らなければ、聞こえない。
ミトの背に腕を回して、自分の方へと引き寄せる。くすりと耳元でミトが微笑む気配がした。
「“お前が気にするな”ですって。何の事かは分からないのですけど、柱間様には分かりますか?」
「……うん」
不機嫌そうに鮮血の瞳を眇めながら尻尾を揺らす、彼の美しい獣の姿を思い浮かべて――私は笑った。
ほんの少しだけ、救われた気分だった。
*****
私とミトとの抱擁をじっと見つめていた扉間。
弟の視
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