第百十九話
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第百十九話 宴の余興に
とりあえずは平穏にはじまろうとしていたファアグラパーティーであった。しかしそれは大きな間違いだった。この博士に限ってそれはなかった。
「さてと、余興じゃ」
「余興っていいますと」
「だから余興じゃ」
博士はフォアグラをステーキにしたものをスペイン産の赤ワインで楽しみながら言い出したのだった。この博士は普通に思いつきで動く人間だ。
「宴には余興が必要じゃろう?」
「それはそうですが」
「嫌な予感がするよな」
「それも凄く」
小田切君もライゾウもタロもここで不吉な感じを否定できなかった。そしてこうした不吉な感じは博士に関してはまず的中するのである。
「ほれ、例えばな」
「例えば?」
「そこいらの悪党を改造人間にするだのな」
博士の趣味の一つである。
「生きたまま怪人に食わせるだのあるじゃろうが」
「それやったらまた警察来ますよ」
「警察なぞ怖くはないわ」
博士はそんなものを恐れない。国家権力を恐れていてはマッドサイエンティストなぞできはしないというのが博士の持論である。
「それが怖くて南極や宇宙にバカンスに行けるか」
「あれってバカンスだったんだな」
「こんな新解釈はじめて聞いたよ」
ライゾウもタロもフォアグラを食べながら驚きだった。少なくとも南極に幽閉されたり宇宙空間に隔離されていたのは博士にとってはそうではなかったのだった。
「各国の軍隊も遊びに来ておる。何を今更」
「そういえば最近ニュースで緊張した顔の兵隊さんが日本に来るってあるよね」
「ゴッキローチのせいだよな」
タロとライゾウがまた言い合う。軍隊だけでなく正義のヒーロー達も日本で必死に戦っている。全て博士が引き起こしている惨事のせいだ。
「まあとにかく余興じゃ」
「それで余興って何なんですか?」
「うむ。それはのう」
博士はそれを受けて話をはじめてきた。
「何だと思う?」
「格実にとんでもないことだと思うけれどね」
ライゾウとタロはこう予想していた。これはいつものことからの予想だ。
「まあ生きた人をそのままミュータントにするとかじゃないの?」
「それか普通の蛇をアナコンダみたいにするとかかな」
こうしたことも得意な博士である。
「さて、何かな」
「あまり見たくない気もするけれど」
「それではじゃ」
二人の話をよそに博士は言葉を続けていく。
「今宵の宴じゃ」
「うわ・・・・・・」
「やっぱりかよ」
「予想通りだったね」
その言葉と共に出して来たのは。小田切君と二匹の予想通りだった。こうした予想は本当によく当たるものである。世の中は不吉な予想は当たるのだ。
第百十九話 完
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