第百十八話
[8]前話 [2]次話
第百十八話 巨大フォアグラ
六人が今田先生に招かれているその頃。博士は自分の研究所で宴を開いていた。参列者は小田切君とタロ弟、ライゾウ兄の一人と二匹である。
「なあ旦那」
「どうした?」
タロはライゾウの声に顔を向けた。既にテーブルに着いている。
「兄弟はどうしているかな」
「さてな」
タロの返事は実につれない。
「生きているのは確かだ。それならそれでいい」
「最近見ないからちょっと心配なんだよな」
「心配するのなら自分のことを心配した方がいいよ」
小田切君はここでライゾウに言ってきた。
「自分のこと?」
「そうだよ。見ればわかるよ」
ここで博士を指差してみせる。
「何か巨大なフォアグラ出しているけれど」
「大きさが滅茶苦茶じゃないかい?」
「あれ、どうやって作ったんだろうねえ」
ライゾウもそれを見た。見ればゆうにタロ位の大きさがある。
「これか」
「はい、それですよ」
小田切君は自分に顔を向けてきた博士に応える。
「それ、どうやって手に入れたんですか?」
「普通のフォアグラを買ってな」
「買ったんですか」
「フランスから特別に買い入れたのじゃよ」
何気にグルメな博士であった。
「それをビッグ○○トで巨大化させたものじゃ」
「そうだったんですか」
思えばこれもかなり凄い話である。小田切君はもう何も感じなくなっているが。
「さて、これをメインに料理していくぞ」
「お酒は」
「今回はカクテルをたっぷりと用意しておいた」
とのことだった。
「カシスだのカンパリだのをな」
「イタリア風ですか」
「うむ、実はイタリアも好きでな」
やはり博士はラテン好みであった。
「それをしてみた。ではこのフォアグラをあらたに開発した料理用マシンに調理させ」
「ええ」
「皆で楽しくやろうぞ」
「わかりました。それじゃあ」
「うむ」
小田切君の言葉に対して頷いてみせる。
「飲んで食うぞ」
「了解です」
「料理は五分でできる」
とのことだった。
「ではその間酒でも飲みながらな」
「待ちますか」
珍しく平穏な博士の開発であると思われた。しかしそれは大きな間違いであったのだった。小田切君はこの時そのことを知らなかった。
第百十八話 完
2008・6・24
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ