第百十五話
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第百十五話 またしてもゴッキローチ
何でもないといった態度で街の不良とヤクザ達を犬と猫の餌にした天本博士。しかし博士の暴虐はこれで終わったわけではなかった。
むしろこれはほんのプレリュードだった。全てははじまりでしかなかった。
「さて、今度はじゃ」
「何を考えてるんですか?」
「思い出したのじゃがな」
小田切君に対して述べる。
「あれがあったじゃろう。ゴキブリじゃ」
「ゴッキローチですね」
「それじゃ。暫くぶりにそれを使ってみようぞ」
あれだけの大騒ぎを今まで忘れていたのであった。やはりこの博士は普通ではなかった。
「最近あれはどうなっておる?」
「どうなっておるって博士」
今の博士の言葉に呆れながら言葉を返す小田切君だった。
「ずっと野放しにしていましたから大変なことになっていますよ」
「大変なこと?」
「そうですよ。あれ勝手に増えますよね」
「うむ」
ゴキブリは放っておいても勝手に増えるものである。しかもこのゴッキローチは。
「細胞分裂みたいに増えますし」
「ただ単に迷惑なものを作るつもりはないわ」
これが博士だった。単に迷惑なものを作るだけでは気が済まない御仁なのだ。
「だからじゃ。細胞分裂して増殖するようにしてみたのじゃ」
「そうだったのですか」
「それで今ゴッキローチはどれだけ増えておるのじゃ?」
「百万程度に」
増えれば増えるものである。
「日本中大混乱ですよ。国連軍は来るし正義の味方は総登場ですし」
「善き哉善き哉」
騒動になっていると聞いて満足することしきりの博士であった。
「これこそがわしの望んだことじゃ。さて、それではじゃ」
「まだ何かするんですか?」
「ゴッキローチ達を集めよ」
またしても何かとんでもないことを考えているようであった。
「国連軍やあちこちの正義の味方がまず来る」
「東○や円○のスター総結集ですよ」
「まだまだじゃよ」
それで満足する博士ではなかった。
「話はこれからじゃ」
「国連も正義の味方も全部敵に回してまだまだですか」
「来るぞ、あの娘達が」
高笑いしつつ述べるのであった。
「そろそろな。楽しみじゃて」
「ああ、あの娘達ですね」
小田切君にも博士が誰のことを言っているのかわかった。
「久し振りに会えますね」
「左様。さてさて」
マントを風にたなびかせつつの言葉だった。
「街を幾つか廃墟にしてしまうかも知れんのう」
そんなことまで楽しみにしている博士であった。今とんでもないことが起ころうとしていた。
第百十五話 完
2008・6・23
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