第百十二話
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第百十二話 博士の年齢
日本人なのはわかった。しかしであった。
「それでですね」
「今度は何じゃ?」
次は犬を巨大化させていた。他には蛇や烏も用意している。
「博士ってお幾つですか?」
「わしの歳か」
「何か以前から日本軍と戦ったとか」
そういうことを言っていたことも実際にある。
「さっきだってコロンブスがどうとか仰っていたし。実際はお幾つなんですか?」
「確かな数字は忘れたわい」
ということだった。
「一応生まれは日本じゃ」
「ええ」
これは間違いないようだ。
「しかしな。歩きはじめてまずは大陸に渡って」
「大陸にですか」
「バベルの塔の建設に立ち会ったのじゃ」
「えっ!?」
この言葉を聞いてまずは唖然となった。
「バベルの塔って」
「聖書に出て来るあれじゃ。途中で飽きてロケットにしてやったのじゃ」
どうやらあの塔の破壊の真相はこうらしい。この博士の言葉だと。
「面白かったぞ、それはそれで」
「それはそれでって博士」
「あと錬金術とかもやったし黒魔術も学んだしの」
博士の教養はそこかららしい。嘘か本当かはわからないが。
「日本に戻って弥生時代の呪術を学んだりローマでユリウス=カエサルと大立ち回りをしてその時にアレクサンドリアの図書館を燃やしてしまった」
「あれは博士がやったんですか!?」
またしても明かされる衝撃の歴史の真実であった。
「何とまあ」
「蔵書は全てわしが異次元の図書館に置いておいた」
どうやらそうらしい。
「じゃから安心せよ」
「安心って」
「これがその時の写真じゃ」
こう言って出して来たのは禿頭をしていてみらびやかな黄金色の鎧と見事な緋色のマントを羽織った男と博士の剣と鞭での戦いの場面だ。背景には何故かピラミッドとスフィンクスがある。何故か博士の服が今と全く同じなのが奇怪だ。
「カエサルは見事じゃった」
「何で服が変わらないんだろう」
「それでこれが万里の長城を破壊してやった時じゃ」
大昔のものと思われるただの壁の列の一部をあのカイザージョーで踏み潰している。周りで逃げ惑う兵士の服装は秦代のものだがやはり博士の服装は変わらない。
「始皇帝をぎゃふんと言わせてやったわい」
「あちこちで無茶苦茶していたんですね」
「アメリカで騎兵隊が前にたまたまいたんでミノタウロスをけしかけてやったこともある」
「はあ」
「それでじゃ。今は」
「どうされているんですか?」
「今の生活を楽しんでおるのじゃよ」
何メートルにもなった巨大な犬を見つつうっとりとしたうえでの声であった。やはり完全なマッドサイエンティストなのであった。
第百十二話 完
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