第百四話
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第百四話 人命なぞ問題ではない
博士は自身の研究所にある地下の改造室にいる。寝台には如何にもガラの悪そうな金髪の若者がいる。髭にピアスがさらにガラを悪く見せている。
「おい、何なんだよここ!」
「知れたこと。改造室よ」
白いタキシードに黒いマントの博士が彼の側で囁く。
「何っ、改造だと!」
「左様」
若者の言葉に応える。
「鼠とコンドルの細胞を移植させて御前を改造人間にしてやるのだ」
「何っ!?」
それを聞いて驚きを隠せない若者だった。
「じゃあ俺はこれから!」
「案ずるな。只のゴロツキがわしの手によって栄えある改造人間になるのだ」
この若者は所謂人間の屑だった。いじめにカツアゲ、恐喝、窃盗、障害、車上荒らしに集団暴行と悪事の限りを尽くしてきているのだ。その若者をこれから改造しようというのだ。
「感謝するのだ」
「ざけんじゃねえぞ爺!」
流石に博士に対して抗議する。
「そんなの受けられるかよ!俺のツレ達が」
「そいつ等ならそこじゃ」
「なっ!」
右を見れば何か得体の知れない肉か骨かわからない残骸達が転がっているだけであった。やはり人間の屑共であったが本当に屑になっていた。
「まさか・・・・・・あいつ等が」
「ほんの少し改造しただけであの有様じゃ。不甲斐ないのう」
「不甲斐ない!?手前まさか」
「天本破天荒という」
「じゃああの」
彼とてもその名を知らない筈がなかった。しかしだった。
「安心しろ成功すれば御前の力は倍以上になる」
「止めろ、止めろぉぉ〜〜〜〜〜っ!」
「細胞移植開始じゃ」
「う、うわあああああああーーーーーーーーっ!!」
忽ち若者の身体がコブラとカナリアのそれが交互に出て遂には。身体が爆発して死んでしまったのだった。
「えぎぃっ!!」
「ふむ、こいつでも無理か」
残骸になった若者を平然と見下ろして言う。
「こいつはもう使い物にならん。捨てるとするか」
博士にとってはそれで終わりだった。そして言う言葉は。
「わしが求める真の改造人間にはまだまだ生贄が必要だな」
「あの、博士」
後ろから部屋にやって来た小田切君が呆れながら博士に声をかける。
「何じゃ?」
「今日だけでもう。ええと」
「デクじゃな」
博士は生体実験の素材をこう呼んでいるのだ。
「デクがどうした?」
「いなくなったのですが」
「まだ五十人程度いよう」
「今日一日で全員殺したじゃないですか」
「その程度か」
やはり人命なぞ知ったことではない博士だった。
「ではまた何処ぞの犯罪者なりヤクザ者なりを捕まえてきて」
「続けるんですね」
「無辜の民を害してないからいいじゃろ」
少なくとも実験には使っていない。
「ヤクザ者や
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