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戦国異伝
第八十四話 炎天下その八
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に着ておりますし」
「あれはどうも百地家の伝統の様ですが」
「しかも黒というより闇でございます」
 その色の服をだ。百地は常に着ているというのだ。このことについて六角の家臣達は無気味なものを感じずにはいられなかった。そのうえで言うのだった。
「闇の色の衣なぞ」
「上杉殿の黒は水の黒ですが」
 五行思想だ。五行思想においては黒は水、そして北だ。冬でもある。
 上杉は己はその水を己の象徴としているのだ。これは毘沙門天は即ち多聞天であり四天王の一人として北を守っているからこそそうなったとも言われている。
 だが百地のだ。その闇はというのだ。
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