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戦国異伝
第八十四話 炎天下その七
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めるがじゃ」
「わしが共におることでじゃな」
「その攻めに粘りが加わる」
 織田家の二枚看板が揃う、その相乗効果を狙ってだ。信長は二人を共にこの近江に向かわせたのだ。その二人が最もわかっていることだった。
 それでだ。その一人である柴田は言うのだった。
「それならば勝てる」
「これだけ厄介な状況でもじゃな」
「それも敵を完膚なきまで叩いてのう」
「この一戦で決める」
 今度は佐久間が言い切った。
「勝ちそれでじゃ」
「伊賀までじゃな」
「そうじゃ、伊賀も手中に収めようぞ」
「では六角を完膚なきまで叩いてじゃ」
 まずはそれが先決だった。勝つにしてもだ。
「そしてそのうえで相手に話してじゃな」
「うむ、下せばよい」
 敵を叩いて終わりではない。そこから相手と話すというのだ。
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