第八十三話 明智の覚悟その三
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それぞれ顔を見合わせてだ。それから丹羽に応えたのだった。
「この戦が終わった時にです」
「答えさせて頂きます」
「それがし達の答えを」
「お願いします。殿はよしと仰っています」
将軍に話して了承を得る、そのことをだというのだ。
「ですから。後はです」
「それがし達がですか」
「どう決断するか」
「そういうことですな」
「左様です」
まさにそうだとだ。丹羽は飽け智達に返答を預けたのだった。そうしてだ。
三人をはじめとして幕臣達はそれぞれ顔を見合わせ話をしてだ。こう丹羽に答えたのだった。
「では、です」
「その申し出慎んでお受け致しましょう」
「そうさせて頂きます」
幕臣達はそれぞれ丹羽にこう答える。これで話はおおよそ決まりだった。
その返答を受けてだ。丹羽は満足した顔になりだ。そしてだった。
「では。それがしも決断しましたし」
「ですな。お互いに」
「はっきりと申し上げましょう。明智殿の覚悟に感服しました」
それ故にだというのだ。
「そうしましょう。ではです」
「はい、まずは八代城の周りの支城を懐柔していき」
そしてだというのだ。
「八代城もまた」
「それを使いましょう」
「ではその様に」
こうしてだった。策は明智の考えを基にして進められた。
波多野についていた国人達も波多野に従っていた者達もだ。
織田の軍勢が日々その数も勢いも増しているのを見て、そして懐柔も受けて言ってダ。次々に織田についていっていた。そしてそれはだった。
八代城でも同じだった。家臣の数は減って行く一方だった。しかもだ。
城の中で囁く声があちこちから聴こえた。それはどういったものかというと。
「やはりこのままではだ」
「そうですな。織田殿につくしかないのではないか」
「幸い織田家は下った家には寛容と聞く」
「ではこのまま下っても、ですな」
「特に何も問題はありませぬな」
「命も土地も安堵されるのならば」
このことが大きかった。実にだ。
それでだった。残っている者の中にも次第に織田家につこうという者が増えていきそれは波多野秀治の耳にも入っていた。
若い男だ。元服してまだそれ程経ってはいない。しかしそれでもだった。
その顔には苦渋の色があった。そしてその顔でだ。彼は少なくなってきた家臣達にだ。こう問うてきた。
「さて、問題はじゃ」
「織田家に。家臣も国人達も次々となびいていっている」
「そのことですな」
「そうじゃ。城内の話は聞いておろう」
彼は己の家臣達にこのことを問うた。
「織田に下るべきという声が多くなっておるわ」
「ですな、確かに」
「それがしもその話は耳にしました」
「それがしもです」
多くの者がだ。こう波多野に答える。
「侍頭の中にも
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