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戦国異伝
第七十九話 人たらしの才その三
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「何時かは砂糖もじゃ。琉球から手に入れるだけではなくじゃ」
「その他にもですか」
「手に入れていくと」
「殿はそう考えておられる。わしはそれも楽しみにしておる」
「ううむ、あの高い砂糖を普通に食せるとなると」
「相当なものですが」
 従者達はそのことがとても信じられなかった。しかしだった。
 それでもだとだ。羽柴は言うのだった。
「だがそれでも。やれぬと諦めるよりはやってからじゃな」
「まず動く」
「殿のお考えですな」
「今もじゃ。まず動くことじゃな」
 こう言ってだった。そのうえでだ。
 羽柴はその茶室に向かう。その狭い入り口をくぐった。
 そして言ってみるとだ。そこにはだ。
 荒木が座っていた。そしてだ。
 羽柴を見てだ。そのうえで言ってきたのだった。
「ふむ。来たか」
「貴殿がじゃな」
「そうじゃ。荒木村重じゃ」
 不敵な笑みをだ。羽柴本人にも向けた。そうしてだ。こう羽柴に言ったのだった。
「では。茶でも飲むか」
「では。今より」
 羽柴は気さくに笑って応えた。荒木はその笑みを見て彼の器量も見抜いた。しかしこのことはあえて言わずにだ。そのうえで羽柴を迎えるのだった。
 二人は正対した。その中でだ。
 荒木は羽柴に茶を出した。それから言うのであった。
「ではじゃ」
「まずは一杯か」
「菓子もどうじゃ?」
「菓子もか」
「そうじゃ。どうじゃ」
 微笑みだった。そのうえで羊羹を出してきた。その茶と羊羹を出したうえでだ。
 荒木はだ。羽柴に言ったのである。
「怪しいと思うか」
「この茶と菓子がか」
「そうじゃ。わしが毒を盛っておると思うか?」
 思わせぶりな笑みで羽柴に問う荒木だった。
「そうしておると思うか」
「その可能性はあるのう」
 決して零ではない、羽柴もそのことはわかっている。
 そしてだ。そのうえでこう荒木に返したのである。
「わしは織田家の者、三好家の敵じゃからな」
「そうじゃ。わしが三好家につくなら御主は邪魔じゃ」
 それならばだというのだ。その場合はだ。
「ここで一服盛って消すこともできる」
「そうじゃな。確かに」
「ではこの茶と菓子はどうするのじゃ?」
「飲ませてもらう。そしてじゃ」
「食わせてもらうか」
「うむ、そうさせてもらおう」
 楽しげに笑みを浮かべてだ。そのうえでだ。
 羽柴は荒木に返した。そして言ったのである。
「是非共じゃ」
「毒が入っておったらどうするのじゃ」
「いや、御主は毒を入れてはおらぬ」
 それはないとだ。羽柴は今度は確かな笑みになった。楽しげな笑みからその笑みになってだ。それから荒木に対してこう返したのである。
「絶対にのう」
「言うのう。わしとて戦国の者じゃぞ」
 それならばだとだ。荒木も羽柴に
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