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久遠の神話
第六話 上城の初戦その十

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「その様に」
「では文献のことは御願いしますね」
「はい」
「それでなんですけれど」
 樹里は聡美の話に頷いてからだ。それからだ。
 あらためてだ。彼女にこのことを問うたのだった。
「怪物を倒したら黄金が出て来ましたけれど」
「そのことですね」
「あれは手に入れてもいいんですか?」
「はい、そうです」
 それでいいとだ。聡美はすぐに答えた。
「剣士への報酬ですから」
「報酬ですか」
「勝利には報酬があるものです」
 その摂理をだ。聡美は今度は話したのだった。
「だからです」
「それであの黄金が出て来たのですか」
「そうです。あれは手に入れられてです」
「使ってもいいんですか」
「その辺りは剣士それぞれの判断になります」
 もっと言えば手に入れるのもだ。そうだというのだ。
「そういうことなので」
「後は上城君次第ですか」
「そうなります」
「戦い勝てば黄金が手に入る」
 このことについてだ。樹里はさらに考えた。
 そしてだ。顔を暗く変えてだ。聡美にこんなことを話した。
「あの、剣士の人達の中にはです」
「戦う理由はですね」
「黄金を手に入れる為にという人もいるのでしょうか」
「実際に過去に何人もいました」
「いたんですか」
「はい、いました」
 聡美はここでも失態を犯してしまっていた。そうした剣士達を見てきたと言ってしまったのだ。だがだ。樹里はここでも気付かなかった。
 それでだ。気付かないまま言うのだった。
「それじゃあ上城君は若しかしたら」
「お金の為に戦う様になるかも知れないというのですね」
「そうなってしまう危険もあるのですね」
「人は変わるものです」
 聡美はまた真理を話した。
「ですから。その可能性はです」
「全くないとはですね」
「言えません」
 そうだというのだ。
「それはどうしても」
「そうですか。それなら」
「ただ。お金には色々な使い方がありますので」
「色々なですか」
「はい、よい使い方もあれば悪い使い方もあります」
 ここでもだ。聡美は真理を話した。
「それはその人それぞれです」
「いい使い方を選ぶのか悪い使い方を選ぶのか」
「それぞれですから」
 こう樹里に話すのである。
「ですからそれ程です」
「このことは深刻に考えることはありませんか」
「上城君は大丈夫です」
 聡美の言葉は確信のものもあった。それがこれだ。
「彼は悪いことにはです」
「なりませんか」
「ならないです」
 その闘いを終えた彼を見ての言葉だ。
「ですから御安心下さい。いえ」
「いえ?」
「信じて下さい」
 こうだ。聡美は言葉を言い換えたのだった。
 言葉を言い換えてだ。そうしてだった。
 上城にもだ。こう声をかけたのだった。
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