第六話 上城の初戦その八
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それでだ。こう言ったのである。
「まさかもう術を使われるとは」
「そういえば。術でしたね」
「はい、それぞれの剣士の術です」
上城はもうそれを使っているというのである。
「それを使われてですから」
「それができているからですか」
「竜の炎を消せました」
それ故にだというのだ。
「本能的にそうされているのですね」
「そうしたことはできるのでしょうか」
「最初の戦いでは中々できないものですが」
「できないですか」
「はい、できないです」
文献の話ではないが樹里は気付いていない。聡美も自覚しないまま話していく。
ですがそれでもです」
「上城君はそうしてですか」
「闘っています」
目の前ではだ。その彼が。
刀を手に竜の炎、それに牙と毒をかわしながらだ。左右に動いていた。
動きながら刀での突きを竜の巨大な身体に突き刺していっている。その動きはまさに闘い慣れた、そうした者の動きだった。
その闘いぶりをみながら。聡美は樹里に話す。
「あそこまでの動きができるとは」
「それもですか」
「中々ないのですが」
「じゃあ上城君この闘いは」
「いけます」
勝てる、聡美は言った。
「順調にです」
「勝てますか」
「はい、ですから」
聡美は樹里にだ。微笑んでこうも告げた。
「御安心下さい」
「わかりました」
樹里もだ。その聡美の言葉に。
頷きだ。そして言ったのだった。
「それなら」
「あの竜は確かに巨大ですが」
それでもだというのだ。
「巨体故に小回りが利きませんから」
「そこを突けばですか」
「ああして互角以上に闘えます」
ただしだ。やはり竜だった。
かなり攻撃を入れても倒れずだ。さらにだった。
尻尾を繰り出してくる。それが。
上城を打った。その一撃を受けてだ。
上城は大きく吹き跳んだ。それこそ七メートル程だ。それを見て樹里は思わず叫んでしまった。
「大丈夫!?」
「普通の人なら死んでいます」
聡美も言う。ただしだ。
樹里の声がうわずっているのに対してだ。彼女の声は冷静だった。それでだ。
こうだ。また樹里に言うのだった。
「剣士になれば耐久力も強化されます」
「だからですね」
「あの程度の攻撃では死にません」
そうだというのだ。
「ただ。あまり酷いダメージを受け続けると」
「やっぱりまずいんですね」
「人は。不死身ではありません」
例え剣士になってもだ。このことは変わらないというのだ。
「ですから」
「だからですか」
「はい、あの程度では死にませんが」
「それでも攻撃を受け続ければ」
「死にます」
聡美は顔を俯けさせて樹里に話した。
「そうなってしまいます」
「わかりました」
聡美のその話を聞い
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