第六話 上城の初戦その三
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きし麺と味噌煮込みうどんの味を知ったのだった。その後でだ。
上城は樹里と共にいてだ。そのきし麺と味噌煮込みうどんの話をするのだった。校舎を二人で歩きながらだ。その話をしている。
それを聞いてだ。樹里はこう言った。
「ああ、あのおうどんね」
「美味しかったよ、とても」
「あれ美味しいわよ」
樹里はにこりと笑って彼に返した。
「きし麺はね。それに」
「味噌煮込みうどんもだよね」
「そうよ。美味しいのよ」
こう言うのである。
「食べたら病みつきになるわ」
「確かに。あれは」
「実は親戚に名古屋の人がいるのよ」
「ああ、そうなんだ」
「それで子供の頃から名古屋に行ってるから」
それでだ。きし麺と味噌煮込みうどんを知っているというのだ。
「他には味噌カツに海老にね。ういろうも」
「そういえば全部食堂にあるね」
「ういろうは喫茶店にあるわよね」
「うん、あるよ」
「名古屋の食べものって美味しいのよ」
実際にそうだというのだ。
「それにうちの学校って」
「名古屋の人多いみたいだね」
「全国から集るから」
名古屋の人間も多いというのだ。
「他には広島とか福岡も多いわよ」
「西日本ばかり?」
「あと北海道の人もいるし」
今度は北だった。
「だから食堂にお魚の料理も多いし」
「そういえば確かに」
「鮭とかホッケとかね」
「あとタラも」
どれもだ。北海道の魚である。
「かなりあるわよね」
「そうだね。北海道の人のことを考えて」
「八条グループって北海道に農園あるし」
それとだ。漁場もだ。
「牧場もあるしね」
「だから何でも」
「そう、食堂に持って来られるのよ」
八条学園は八条グループの経営する学園である。
だからだ。そうしたものもすぐに調達できるのだ。
そのことを話してだ。樹里はにこりとしてだ。
上城にだ。こんなことを言った。
「それでだけれど」
「それで?」
「何を食べるの?今度は」
「何をっていうと」
「だから。明日だけれど」
「ううんと。明日の昼食?」
「そう、それはどうするの?」
具体的にだ。どうするかというのだ。
「何を食べるの?」
「今日のきし麺美味しかったから」
「じゃあそれ?」
「それにしようかな」
上城はこう言った。考える顔で。
「やっぱり」
「北海道は?」
「また今度。あと今日の放課後だけれど」
「その時は?」
「ういろう食べようかな、喫茶店で」
「あっ。ういろうなの」
「そうしようかな」
考える顔でだ。こう答えたのでる。
「今日は」
「いいわね。じゃあどのういろうにするのかしら」
「えっ、どのって」
それを聞いてだ。上城は。
目をきょとんとさせてだ。樹里に問い返した。
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