第七十八話 播磨糾合その二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「それをしてです」
「そしてそれがしが猿まわし師に扮してです」
秀長も出て来て話す。
「二人一組になってです」
「芸をするか」
「左様です。それで路銀を稼ぎます」
「成程のう。そして飛騨者達もか」
信行は羽柴兄弟の話を聞いたうえでだ。あらためてだ。
飛騨者達にも顔を向けた。彼等についてはだった。
「この者達については心配はいらぬな」
「実際に芸人に化けてあちこちを回っていたでやんすよ」
「そうですよ。これでも色々な芸ができますよ」
煙がにこにことして右手を自分の頭の後ろにやって、風は右目を瞑ってみせて応える。
「だからでやんす」
「何も問題ありませんよ」
「あとわしもです」
蜂須賀もだ。笑顔で名乗り出て来た。
「蝦蟇の油、それをやりますか」
「小六、御主もか」
「はい、忍の者の端くれとしてそうした芸ができます」
そうだと言うのだった。
「ですからお任せ下さい」
「これで路銀は稼げるか。しかしじゃ」
信行は彼等の話も聞いたうえでだ。そのうえでだ。
自分もだと。言うのだった。
「わしも芸をせねばな。他の者がしているのにそれはなかろう」
「あれっ、勘十郎様もですか」
「何か芸を持っておられるのですか」
「一応はな」
あるとだ。信行は蜂須賀と秀長に述べた。
「あるにはある」
「といいますと一体」
「どうした芸でございましょうか」
「うむ、それはじゃ」
ここで信行が言う芸はだ。これだった。
「論語をはじめとした四書五経の暗誦じゃ。それができるぞ」
「いえ、それはどうも」
「芸には芸ですが」
信行のその真面目そのものの話を聞いてだ。一行は。
まずはその目を点にさせそのうえでだ。こう信行に言ったのだった。
「しかしそれはどうも」
「人に見世物にする芸ではありませぬ」
「ですから勘十郎様はです」
「どうか御覧になられるだけでお願いします」
こうだ。真面目に言う彼等だった。そのうえでだった。
信行の芸については止めたのだった。それを受けた彼はというと。
難しい、そして残念そうな顔になってだ。そうして言うのだった。
「それではわしの面目が立たんが」
「いえ、ここは一軍の将としてです」
「どっしりと構えておいて下さい」
「そうして頂いていいですから」
「お茶でも飲まれて」
「そこまで言うのなら仕方がないか」
とにかく周りからくどくどと言われてだ。それでだった。
信行もようやく頷いた。まだ納得していない感じにしてもだ。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「では路銀を稼ぎながら姫路まで向かうとしよう」
「ただしです。急ぎましょう」
羽柴はそれを言うのを忘れなかった。
「姫路には」
「そうじゃな。急がねばな」
そのことは
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ