第五話 剣士の戦い十一
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「可能でしょう」
「そうですか。それなら」
「そうして下さい」
切実な、そして妙に誰かを気遣う様子でだ。聡美は告げた。
「是非共」
「そうさせてもらいます」
「それなら」
そしてだ。樹里もだった。その上城に言ったのだった。
「私もね」
「貴女もですね」
「私は戦えないですけれど」
それでもだというのだ。
「上城君の力になります」
「彼を助けてくれるのですね」
「そうさせてもらいます」
彼女もだ。決めて言ったのだった。
「是非共」
「人はです」
ここでだ。聡美はその樹里に言った。
「一人では生きられません」
「そうですね」
「そして戦うこともです」
「一人ではできませんか?」
「できます。しかしです」
それでもだというのだ。
「一人だけで戦うことは辛いです」
「では。私は」
「若し上城君を支えてくれるのなら」
「私がそうすれば」
「非常に大きなことになります」
そうなるというのだ。
「上城君の支えにです」
「支えですか」
「人は一人だと」
まただ。一人だと、という聡美だった。
「何かあり揺らぐとです」
「揺らぐとですか」
「倒れてしまいかねません」
こう言うのだった。
「ですから是非共です」
「支えが必要ですか」
「若しもですが」
今度はだ。仮定をしてから話す聡美だった。
「上城君はこの気の遠く程続いたこの戦いを終わらせられるかも知れません」
「それができるのですか」
「はい。文献では」
まただ。文献を話に出して話す聡美だった。
「そう考える剣士もいました」
「いたのですか」
「そうした剣士も」
「はい、いました」
いたとだ。聡美は話す。
「ですがこれまでそれを果たせた剣士はいなかったのです」
「それは何故ですか?」
「その誰もが一人でした」
彼一人が。そう思い戦ってきただけだというのだ。そうした考えを持つ剣士がだ。
「ですから。揺らぎ」
「そうしてですね」
「倒れました」
そうなったというのだ。彼等は。
「戦いの中に果てていきました」
「そうなっていったんですか」
「一人だったからです」
全てはそれが理由だった。
「彼等は倒れていきました」
「じゃあ僕も」
「一人では間違いなくそうなります」
上城自身に話す。そうなるとだ。
「ですが」
「しかしですね」
「はい。若しも支えてくれる方がいれば」
「私が上城君を支えるなら」
「出来るかも知れません」
微笑みだ。樹里に話すのだった。
「この戦いを終わらせることが」
「わかりました」
ここまで聞いてだ。樹里は静かに頷いた。
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