第七話 位牌その十三
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ました。それでは」
「何はともあれ一度信濃に行ってみよ」
何につけまずはそれをという宗滴だった。
「よいな」
「わかりました」
「霧隠才蔵よ」
その名をはじめて呼んでみせた。
「そなたはわしで終わるには惜しい」
「それで次の主の下へと」
「そうだ、飛べ」
飛べとさえ告げる。
「そしてそのうえで大きなことを果たすのじゃ」
「さすれば」
ここでだ。その才蔵は覆面を取った。するとそこからだ。流麗な美男子の顔が出て来た。誰もが見た途端に息を飲む美貌であった。
「その時までは宗滴様に」
「仕えてくれるか」
「お許し願いますか」
「言うのはわしの方じゃ」
こう返す宗滴だった。
「それではその時まで頼むぞ」
「では」
「朝倉の天下は望めぬとしても」
空を見上げての言葉だった。
「しかし。天下は大きく動くか」
「その様ですな」
今空には蒼天と白日があるだけである。そしてその白日がだ。これ以上はないまでに強く明るく輝いていた。まるでこの世を変えんとする様に。
第七話 完
2010・8・31
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