第五話 剣士の戦い六
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「逃げられません」
「剣士同士で戦うんですね」
「それと」
「魔物達ともですね」
「はい、あの怪物達ともです」
呼び名は様々だったが指しているものは同じだった。
「戦わなければなりません」
「魔獣達は」
上城もだ。そうした存在の呼び名は色々だった。
しかしだ。その指しているものは彼にしても同じだった。
そのだ。剣呑な存在に対してはどうか。彼はそのことを言った。
「別に戦ってもです」
「構わないですね」
「はい、彼等は人を襲いますよね」
「神話の時そのままです」
彼等が神話で出て来ただ。その時のままだというのだ。
「それは変わりません」
「そうですか。やっぱり」
「魔獣は同じです」
「それなら倒すことに何も躊躇はしません」
そうした異形の存在に対してはというのだ。
「あの連中とは戦えます」
「剣士達とは違いですね」
「何か。人間同士が争うのは」
どうかとだ。上城は戸惑う顔で聡美に話す。
「おかしいですよね」
「だからです」
「だから?」
「神々がそうでしたし」
聡美はここでもギリシアの神々のことを話した。
「同族で争い力を湧き出させてきました」
「同族!?神々もですか」
「神々は。代替わりしています」
ギリシアの神々の特徴の一つだ。神々といってもオリンポスの神々だけではないのだ。彼等以前にも神々は存在しているのだ。
「ティターンは知っているでしょうか」
「確か」
その名を聞いてだ。聡美が言った。
「クロノスとかオケアノスとかいう」
「はい、オリンポス以前の神々です」
「そうでしたね。確か」
「オリンポスの神々はティターンと戦い」
そしてだ。それによってというのだ。
「多くのものを得たのです」
「神々になっただけじゃないんですか」
「彼等はそこで解放したヘカトンケイル達の助けを受け」
彼等にとっては親戚にあたる五十の頭と百の腕を持つ巨人達である。
「そしてキュクロプス達に武器を作ってもらいました」
「あの一つ目の巨人にですね」
「ゼウスは雷を」
まずはこれだった。
「ポセイドンは三つ叉の鉾、ハーデスは姿を隠す兜を」
「彼等の象徴をですね」
「はい、その神々の力をです」
「手に入れたのですか」
「戦い。とりわけ同族同士の戦いは」
それがだ。もたらすものはというと。
「多くのものを生み出します。力もまた」
「それでその力を?」
上城は首を捻りながら聡美に尋ねた。
「僕達が手に入れていくんでしょうか」
「ある程度は」
全てではない。聡美は言った。
「そうなります」
「ある程度?じゃあ他の部分は」
「あっ、それは」
「それは?」
「散ります」
何処か誤魔化す様にして話す聡美だった。
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