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久遠の神話
第五話 剣士の戦い三
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「上城君は」
「まさか。僕のことも」
「水の剣士になられましたね」
「水の剣士って何なの?」
 その通り名を聞いてだ。樹里がだ。
 眉を顰めさせてだ。上城と聡美に問い返したのだった。
「何か物々しい呼び名だけれど」
「この世には十三人の。それぞれの剣と力を持つ剣士がいます」
 上城は戸惑い言えなかったがだ。その代わりにだ。
 聡美がだった。樹里に答えてだった。
 そのうえでだ。こう言ってきたのである。
「そしてその水の剣士がです」
「上城君なんですか」
「十三人の剣士は互いに魔物を倒しつつ戦い合う運命にあります」
「戦うっていうとまさか」
「はい。上城君もです」
 戦うという言葉に青くなった樹里にだ。聡美は淡々と、あえて感情を押し殺している様な感じでだ。事実を話していくのだった。
「最後の一人にならなければです」
「死ぬ、んですね」
「そうです」 
 聡美は俯いた。そのうえでの今の言葉だった。
「そうなります」
「そんな、戦って最後の一人にならないと死ぬなんて」
「それが剣士の運命です」
「そんなのおかしいです」
 樹里は何とかその事実を打ち消したい顔で言った。
「絶対に」
「そう思いますね」
「はい」
 樹里は強い声で聡美に答える。
「銀月さんもそう思いますね」
「私も同じです」
 聡美は強張り。悲しさを宿らせた顔で樹里に答えた。
「それは同じです」
「そもそもどうしてなんですか!?」
 樹里は声をうわずらせ聡美に問うた。
「どうして上城君が。他の人達が」
「それにどうしてなんでしょうか」
 上城もだ。聡美に尋ねる。
「僕が剣士だということも。剣士もことよ」
「そうよね。どうして銀月さんが?」
 樹里は少し冷静になった。それでだ。
 上城の言葉に応えてだ。そうして言うのだった。
「そのことを御存知なんでしょうか」
「それがわからないんですけれど」
「はい、文献を読みまして」
 聡美は目を微かに右にやってから。一瞬でそれを戻して答えた。
「それで知ったのです」
「文献っていうと」
「ギリシアのでしょうか」
「そうです。上城君、そして他の剣士達は」
 そのだ。文献とやらに書かれているというのだ。
「遥かな古代、神話の時代からです」
「神話ってギリシアの」
「あの頃だよね」
「はい、あの頃からです」
 まさにだ。そのギリシアの神々の時代からだというのだ。
 上城達は戦っていた、そうだというのだ。
「あの頃から貴方達はそれぞれ剣を持ち戦い生まれ変わり」
「また戦う」
「そうだったんですか」
「時代も国も変わりましたが」
 それはだ。変わっていったというのだ。
「神話の時代から。ローマやケルト、ペルシャ、中国」
「そうした国で、ですか」
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