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戦国異伝
第七十七話 播磨入りその二
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「戦に勝てる」
「例え武田や上杉が相手であろうとも」
 天下で強いといえばとにかくこの両家だった。まさに龍虎だ。
 そしてその甲斐の虎と越後の龍についてだった。話す氏康だった。
「武田は今二百万石で五万じゃ」
「そして上杉は百万石で二万五千」
「しかし上杉は」
「やがて越中や能登も手に入れる」
 その二国もだというのだ。
「そうなればじゃ」
「兵は三万を越えますか」
「上杉もまた」
「それに対して織田はおそらく十五万は手に入れる」
 それだけのものになるというのだ。織田はだ。
「三倍の敵に正面から戦えばまず勝てぬ」
「しかもそれがまともな将が率いているなら」
「それならですか」
「そういうことじゃ。弱兵でも戦い方があるのじゃ」
 氏康もよくわかることだった。相模の兵も弱いからこそだ。武田や上杉とまともにぶつかっても勝てはしない、北条の兵はそうした兵達なのである。
 だがそれでも勝って来た。その氏康の話だ。
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