青葉時代・終末の谷編<後編>
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「っはぁ、はぁ、はぁ」
肩どころか全身を使用して、ようやっとの事で呼吸していた。
辛うじて立っていた二本の足がみっともなく震えて、そのまま体勢を崩す。
地べたに這いつくばる事だけは何とか避けられたが、小刻みに震える両腕で必死に体を支えなければ今にも倒れてしまいそうだ。
汗と血と砂塵で汚れた私の体。
頬にかかっている血の雫は、おそらく私達二人のものなのだろう。
そんな事を茫洋と考えていれば、不意に息が詰まった。
「ごふっ……!」
咳き込んだ口の端から血が飛び散る。
それでも必死に正面を向いて対岸へと視線を移せば、その先には体に何本もの刀が刺さったままのマダラの姿があった。
彼の武器である団扇に寄り掛かる様にして、辛うじて上半身を立たせているだけの状態。
冷たい風がマダラの長い黒髪を靡かせながら吹き抜けていけば、鈍い音がしてマダラの上体が地に落ちる。
――私並みの回復力でもなければ、あの怪我ならまず助からない。
疲れ果てた脳裏の片隅で冷静な声が響いて、表情を歪めた。
「うぅぐ……! はぁ、はあっ」
なんとかして重たい体を持ち上げ、一歩一歩マダラの方へと歩く。
体が重い。鉛が付けられたどころではなく、全身が粘つくタールの海に沈められている様だ。
普段ならば一足飛びに飛び越せる私達二人の間を隔てる岸壁も、今の私ではそれすら敵わない。
だから、遠回りをしてマダラへと近付くしかなかった。
「っ、あ……!」
体が大きく揺らぐが、根性で踏みとどまる。
あまりにも鈍重な動きのまま倒れ伏したマダラの側へと片膝を付けば、具足が耳障りな音を立て、やや足がもつれた。
「……くっ、ぐぅ……!」
生死の確認をするために、俯したままのマダラの肩を掴んでこちらへと振り向けさせようとすれば、揺らめく炎を映した様な瞳と目が合った。
赤い、赤い写輪眼。
私の心を捕えて放さなかった――この世に存在する美しいアカイロの一つ。
「何故だ……?」
ほつりと呟かれた言葉が誰の物だったのか、最初は全く分からなかった。
普段の倍以上に遅い脳みそがようやく回転して、ようやくそれを呟いたのがマダラであると悟る。
「友を殺し、弟の目を奪って永遠の万華鏡を得た……」
――赤い瞳が私の姿を映し出す。
幻術や催眠を掛けられた訳でもないのに、その瞳から目を離せない。
ぐちゃぐちゃと色々な感情が入り交じった瞳が私を射すくめた。
「そうして得た力で、九尾をも、操った……。だと……言うのに――」
真っ赤に塗れた指先が私の方へと向けられる。
血の香りが私の鼻を掠めて、頬にべた付く物が付着した。
「何故、貴様には――敵わない…
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