第四話 中田の告白その四
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ミノタウロスというとだ。その恐ろしさの理由は。
「人食うしな」
「かつてラビリンスでは人を生贄にしていました」
「だよな。牛が人食うのか」
「半分は人間ですから」
「ああ、それでか」
半分人間と聞いてだ。中田は幾分か納得できた。
「牛だったら草しか食わないが人間だったら肉食うしな」
「そうです。しかしそれはそれで」
「人間が人間食うか」
「確かこの時代の言葉では」
「カニバリズムだったな」
一種の異常な精神病の一つとみなされることもある。人間が人間の肉を口にするということは古代からあったのだ。当然ギリシアでもだ。
「そう言ったな」
「そのカニバリズムです」
「厄介な奴だな」
また言う中田だった。
「俺も油断したらミノタウロスにだよな」
「食べられたいですか?」
「冗談だろ。誰が食われたいんだよ」
中田は笑ってそれはないと答えた。
「そんな奴いるか?」
「そういうことですね」
「食われる位ならな」
それ位ならだと。言いながらだった。
その両手にそれぞれ刀を出す。紅蓮の刀をだ。
そしてそのうえでだ。前を見る。その彼にだった。
声がだ。警戒する声で話した。
「来ました」
「前からかよ。後ろからかよ」
「前からです」
「ああ、来たな」
声が言ったその瞬間にだった。
三メートルはあろうかという半裸の筋骨隆々の大男が出て来た。だがその頭は雄牛のものだ。
そしてその手には巨大な両刃の戦斧がある。身に着けているのは白い腰巻だけで漆黒の身体においてよく目立っている。その巨人こそが。
「あいつか」
「ミノタウロスです」
「そのままの姿だな」
中田は人身牛頭のその巨人を見て言う。
「神話の」
「強さもです」
声はそれもだという。
「そのままですから」
「一歩間違えたらか」
「はい、食べられてしまいます」
「スリル満点だな」
話を聞いてだ。中田は。
シニカルな笑みを浮かべてだ。こう言ってだ。
そのミノタウロスを待ちだった。そのうえで。
魔物がだ。斧を上から振り下ろすのを見た。そこでだ。
身体を右に動かす。それで。
斧の一撃をかわす。斧は派手な音を立てアスファルトを破壊した。硬い筈のそこはまるで豆腐の様に砕けてしまっていた。
それを横目に見つつだ。中田は。
魔物の懐に飛び込んだ。そうしてだ。
その腹にだ。右の刀を突き刺した。
突き刺したそこからだ。赤い炎が怒る。それで焼こうとするのだ。
その中でだ。彼はこうも言った。
「さて、これでな」
「これで?」
「ステーキだな」
笑ってだ。こう声に言った。
「塩と胡椒が欲しいな」
「あの、それは」
「余裕だっていうんだな」
「そう聞こえますけれど」
「戦いって
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