第七十五話 都に入りその十一
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わかっておられるわ」
「茶のことをですか」
「それを」
「そして茶器のことをだ」
茶道がわかっているのなら必然的にそれもわかってくるのだった。
茶器についてだ。松永はさらに話した。
「それは一国に匹敵するからのう」
「今持って来ているあれも」
「あれもそうなりますか」
「うむ。土地をやるのには限りがある」
土地には限りがある。褒美として土地をやることは古来より普通に行われてきた。まさに一所懸命である。だがその限りある土地に代わってだ。その茶器を出すとどうなるかというのだ。
「しかし茶器は極論すれば幾つでも作られる」
「そしてその茶器をですか」
「織田殿は褒美として家臣に渡す」
「そうしていますか」
「考えたものじゃ。ではその織田殿とじゃ」
今から会うと言ってだ。松永は本能寺に向かっていた。
ここでもだった。運命の出会いが起ころうとしていた。信長はまた一人だ。彼にとって会うべき運命の者と会うのだった。その運命の場所において。
第七十五話 完
2012・1・14
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