暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第七十五話 都に入りその十一
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
わかっておられるわ」
「茶のことをですか」
「それを」
「そして茶器のことをだ」
 茶道がわかっているのなら必然的にそれもわかってくるのだった。
 茶器についてだ。松永はさらに話した。
「それは一国に匹敵するからのう」
「今持って来ているあれも」
「あれもそうなりますか」
「うむ。土地をやるのには限りがある」
 土地には限りがある。褒美として土地をやることは古来より普通に行われてきた。まさに一所懸命である。だがその限りある土地に代わってだ。その茶器を出すとどうなるかというのだ。
「しかし茶器は極論すれば幾つでも作られる」
「そしてその茶器をですか」
「織田殿は褒美として家臣に渡す」
「そうしていますか」
「考えたものじゃ。ではその織田殿とじゃ」
 今から会うと言ってだ。松永は本能寺に向かっていた。
 ここでもだった。運命の出会いが起ころうとしていた。信長はまた一人だ。彼にとって会うべき運命の者と会うのだった。その運命の場所において。


第七十五話   完


                  2012・1・14
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ