青葉時代・終末の谷編<中編>
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った黒い影はおそらくこいつの伸ばした手。あの厭な響きの音は目玉が刳り貫かれた際の音……といったところか。
ああもう! つくづく理解などしたくない事実のオンパレードだ!
腹を抉られたりするのであれば兎も角、うちはでもない私が目を奪われるだなんて想像出来るか!
胸中で毒を吐いて、再度大きく深呼吸をする。
――意地でもこれ以上の醜態は見せられない。
腹に力を込めて、空っぽの眼孔へとチャクラを集中させる。
引き千切られた視神経と零れ落ちる私自身の血を媒介に、細胞を再生させる治活再生の術を発動。
その間マダラの攻撃を受けては堪らないので距離を取ったのだが、何故か追撃を受ける事は無かった。
「千手の……、いや貴様の印を使わない再生術か。つくづく忌々しい体質だな、その陽遁の体」
「――はっ! お前ご自慢の万華鏡には及ばないさ!」
吐き捨てる響きの言葉に、私の声も自然と荒くなる。
術が無事に発動し、窪んでいた眼孔が喪った物を取り戻す。その証拠に押さえている指先へ確かな反発が返される。
取り戻した片目と共にマダラを睨みつけるが、生憎と再生したばかりの片目が上手く働いていない事に気付いて舌打ちした。
「人の目玉を抉り出しやがって……悪趣味だぞ、この野郎」
引き攣る声を押さえて、肩で息を吐く。
私の目を奪ったマダラの右手は真っ赤に染まって、今も滴る血を大地へと落としている。
自らも腹に刀が刺さったままであると言うのに悲鳴一つ上げる事無いうちはマダラ。
まず間違いなくその強靭な精神力は賞賛に値するね、腹立つ程に。
……いや、何か可笑しくないか?
血に染まったマダラの空の右手に引っ掛かる物を感じて眉根を潜める。
しかしながら次いで聞こえて来たマダラの心底忌々しそうな声に、私はそちらへと気を取られてしまった。
「片目を摘出したと言うのに……直ぐさま喪った目を再生するか。流石だな、千手柱間」
「人の目を奪いやがったお前にだけは……誉められたく、ないね……」
再生に成功したとはいえ、涙の様に流れ落ちていく血のせいで右目分の視界が真っ赤に染まったままだ。
……本当に洒落にならない事ばかりしてくれやがるな、こいつ。
ともすれば我を失いがちになる頭を必死に冷やして、冷静に状況を分析する。
相手の腹には刀の一本が突き刺さったまま。
対する私と言えば、片目を盗られ視界は不安定とはいえ、自動治癒のお蔭で大事無い。
精神的にかなりの負担を与えられこそしたが、私の方がそういう意味では状況は有利ともいえる。
にしても……木の葉を去っていた期間に、また一段と腕を上げている。
それまでは使う事の無かった私の技や独自に開発したらしき忍術など、そ
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