第七十五話 都に入りその一
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第七十五話 都に入り
鴨川の戦いで三好軍を一蹴した信長はだ。都に進む前にだ。
軍を集めその陣を整えることを命じた。そうしてだ。
功績を挙げた者達を前に呼びだ。褒美をやり労いの言葉をかけたのだった。
それでだ。彼はだ。
とりわけ蒲生と明智を呼びだ。二人に微笑み告げたのだった。
「御主等、とりわけ見事じゃった」
「有り難きお言葉」
明智がだ。頭を下げて信長に応える。
その明智にだ。信長はさらに言った。
「御主はこれからもじゃ」
「これかもですか」
「その力を見せてくれ。よいな」
「畏まりました。それでは」
「あの鉄砲の二段撃ちは何処で身に着けたのじゃ」
あの撃ち方についても尋ねる信長だった。
「あれは一体何じゃ」
「はい、あれは雑賀衆の技です」
「あの紀伊の忍達か」
「左様です。彼等の鉄砲の使い方を真似ました」
「あの者達は鉄砲の使い方に秀でておる」
信長もこのことは知っていた。彼等はその鉄砲の腕と隠密行動に秀でていることによりだ。本願寺の大きな力となっていたのだ。
その彼等のことを聞いてだ。また言う信長だった。
「あの者達の技か」
「それを使わせてもらいました」
「見事じゃ。それにより三好の動きは完全に止まったわ」
このことをだ。信長は評価してだ。そのうえでだ。
明智にあるものを出した。それは。
見事な掛け軸だった。それを明智に出して言うのだった。
「これも取っておけ」
「それはまさか」
「うむ、明の筆でのう」
そしてその筆はだ。誰が書いたかというと。
「それをやろう」
「まさか。それまでのものを頂けるとは」
「ははは、あまり有名な者ではない様じゃがな」
「いえ、それは」
信長の己への心があるからだ。明智は言うのだった。
「有り難く受け取らせて頂きます」
「そうするというのじゃな」
「はい」
「御主はどうやら武だけではないな」
信長は既に明智の資質を見抜いていた。それでだったのだ。
「だからじゃ。筆をやろう」
「それ故にですか」
「これからは御主の文も見たいものじゃ」
「さすれば」
明智は信長に頭を垂れてだ。そのうえでだ。
その筆を受けた。それからだ。信長は蒲生にはだ。
笑みを浮かべてだ。こう告げたのだった。
「御主には馬をやろう」
「馬をですか」
「あの働きがあらばこそあそこまで勝てた」
彼の誘い込み、それがあらばこそだというのだ。
「だからじゃ。馬じゃ」
「だからこそですか」
「これからも馬を駆り功を挙げるのじゃ」
蒲生に告げたのである。
「よいな」
「はい、それでは」
こうしてだ。蒲生もまた信長からの褒美と労いの言葉を受けたのだった。その他の者にも
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